コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 最強次元師!! ( No.637 )
日時: 2010/12/08 18:25
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

第154次元 尾行

 「・・・・」
 「あらミル。また何処かに行くの?」
 「あ・・・はい」
 「そう、行ってらっしゃい」
 「行ってきまぁーっす」

 大きな扉の前で立ち止まったいたミルはフィラ副班に話しかけられて少し驚いた。
 フィラ副班はまだ寝起きなのか隊服の上に何かを羽織っていた。
 ミルの笑顔に安心したフィラ副班はコーヒーを片手に班長室へと向かった。

 「・・・ここずっと、なんです」
 「何がだ?」
 「ミルが・・・朝から晩まで帰ってこなくて・・・」
 「ほほぉ・・・それで?」
 「たまに出かけない日も、任務行かないし、何かあったんじゃないかって・・・」
 「フィラが心配してもどうにもならないんじゃないか?」
 「ですけど・・・」
 「でも奇妙だな・・・ここ毎日、なんて」
 「そうなんです、様子が可笑しいと言いますか・・・」
 「本人には聞いたのか?」
 「何度も聞きました。・・・でも、笑顔で『なんでもないですよ』って言うだけで」
 「・・・・んー・・・それじゃあどうにもできないが・・・」
 
 班長室に入るなり、フィラ副班は班長に何かを頼んでいた。
 そう、フィラ副班の言う事は間違っていない。
 ここ毎日、ミルは朝から晩まで1度も帰ってこずに、任務にも行こうとはしなかった。
 一体ミル・アシュランに何があったというのだろうか。

 「・・・もう少し様子を見よう。何か分かるかもしれんし」
 「そう・・・ですね」
 「・・・なぁフィラ」

 フィラ副班ががっくりと落ち込んでいた時、班長はふとフィラ副班に話しかけた。

 「ミル・アシュランは・・・本当に普通の次元師か?」
 「———!?」

 あまりの質問に、驚きを隠せなかったフィラ副班。
 手に持っていたコーヒーも、危うく落としそうになったまでだ。

 「そ、それは一体・・・!?」
 「・・・いや、何でもない」

 フィラ副班の動揺に、班長は冷たく言い流した。
 副班は気持ちが落ち着かなかったのか、班長室を出ていった。
 少し荒々しい声で、「失礼します」とだけ言って。

 

 「ミルの行動が可笑しい?」
 「それ、どゆこと??」

 仕方なく、フィラ副班はエポール兄妹に問題を持ちかけた。
 毎日の事を全て説明終えると、2人は、んーっと唸るように考え込んだ。

 「・・・なんか悩んでんじゃねぇの?」
 「もしくは大事な用事がある・・・とか?」
 「それは私も考えたけど・・・ミル自身は何も答えてくれないのよ・・・」

 フィラ副班に悩みに、あの2人でさえ、頭を悩ませていた。
 飲んでいた紅茶の氷がカラ・・・っと音と立てた時、
 ロクは右手の人差し指を立てて、こう言った。

 「尾行してみる・・・ってのは!?」
 
 悩みに悩んだ結果なのか、ロクは自慢げにそう言った。 
 だが、副班もレトも賛同はしなかった。

 「・・・俺らに班長みたいになれと?」
 「ストーカーって・・・事?」
 「班長は信用されてないんだね・・・うん」
 「まぁ一理あるけど・・・お前動けないだろ?」
 「う・・・まぁ・・・」
 「・・・ったく、じゃあ俺が行くよ」

 溜め息をついたレトは仕方なくロクの意見に賛同した。
 それを見ていたフィラ副班慌てるように言った。

 「だ、大丈夫なの!?」
 「まぁ・・・なんとかなるんじゃん?」
 「そうそう」
 「・・・全くー・・・いつもこうなのね・・・・」

 隊服を羽織り、2人とも準備万全に整えていた。
 そこでひょこっと、横からキールアも顔を覗かせた。

 「うぉ!?」
 「き、ききキールア!?」
 「なんでそんなに驚くの・・・。あたしも同行していい?」
 「お前は危な・・・っ!!」
 「いつまでも、援護ってわけにはいかないでしょ?」
 
 医療部隊の次元師として新しく作ってもらった特殊な白衣を着て、キールアも準備を整えた。
 ったく・・・とレトは少し溜め息をついたが、悪くは思っていないようだ。

 「大丈夫?2人で・・・」
 「危ない事しに行くわけじゃねぇし、大丈夫だとは思うけど」
 「何か分かったら、連絡入れます」
 「そう・・・ありがとう、2人とも」
 「「どういたしましてっ」」

 レト、、キールアの2人は、大きな門を開き、ミルを尾行すべく、歩みだした。
 ミルを追う事により、事件に巻き込まれるとも・・・知らず。




 「これでもまだ—————“あれ”は渡してくれないのですか?」


 「何を言う・・・?完全なる“神”を創るまで、お前には協力してもらわねば・・・」

 
 「——————ッ!!」


 ごめんね。



 まだ・・・助けられそうにない。



 それまで待っててね、




 「ハル——————————」