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Re: 最強次元師!! ( No.643 )
日時: 2010/12/13 19:15
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

第155次元 研究所

 さて・・・っと言うように、レトとキールアは歩き始めた。
 だがそこで思わぬ声に反応してしまう。

 「ようレトー、何どさくさに紛れてキールアとデートしてんの?」
 「これが俺と同じ部隊の男か・・・呆れる」
 
 !!?っという驚きを表した2人はとっさに後ろに振り返る。
 そこに立っていたのは紛れもなく、紅髪の少年と小さな少年の、2人。

 「ってっめぇら・・・」
 「おっと、彼女の前で暴行は・・・」
 「黙れこのサボテン野郎がァァァァァアアアッッ!!!!」

 レトとキールアの後ろにいたのは、1番隊のエンと、2番隊のサボコロだった。
 
 レトの見事なる鉄拳で、サボコロは10m先まで吹っ飛んだ。
 勢いよく飛んだサボコロは地面に這い蹲り、ずるずる・・・と体を引きずって近づいてきた。

 「・・・誰が・・・サボテ・・・・」
 「サボコロって呼びにくいんだよ。いいだろ、サボテンで」
 「良い訳あるかァァァアアアッ!!!」
 「近づくなこのストーカーめーーっ!!」

 騒がしい2人を前に、キールアとエンは絶句。
 声にも出ない低レベルな争いに、口からは何の言葉も出なかった。

 「ったく・・・俺らも暇だからついて行ってやるっつうのに・・・」 
 「なんだよ、任務はどうした?」
 「あとの部隊に押し付けてきた」
 「・・・お前、最低だな」
 「惚れただろ?」 
 「・・・・黙れ、そして砂漠の中で咲き誇ってろ」 
 「だから俺はサボテンじゃねェェェェェエエッ!!」
 
 何かの会場でコントでもやるのかというくらいの激しい突っ込み合いに、正直呆れていた。
 時間のロスだ、とエンは呟いた。

 「でもあんま大勢で行くようなもんじゃねぇよ?」
 「ま、いいだろ。暇だし」
 「任務押し付けてきたってさっき・・・」
 「細けぇ事は気にすんなって!!さぁ行こうーっ♪」
 「ったくー・・・」
 「場所は分かってるのか?」
 「あぁ、大体な。発信機つけたらしいし」
 「・・・何だそれは」
 「フィラ副班が心配だからってつけたんだってさ。ま、俺らが行くはめになっちまったけど」
 「なら難しくなさそうだな・・・」

 よし、とレトは声をあげて、発信機が反応する場所に向かい、歩き出した。
 結局4人で行く事になってしまったが、本当に大丈夫なのだろうか。
 この4人で何かをするのは初めてで、息もあまり合わない。
 だが少なくとも、レトとエンは同じ部隊のため、こういう仕事はやりやすいのだろう。

 「えーっと・・・ん?」
 「どうしたぁー、レト」
 「いや・・・ミルが向かってる場所・・・さ」
 「ああ」
 「閉鎖された研究所・・・みたいなんだ」
 
 レトがそう告げた時、3人の表情は変わる。
 これは4人が来て、正解だったと告げるように。
 研究所に向かうという事は、何らかの事件かに巻き込まれている可能性が高い。
 それか、蛇梅隊内の情報も漏れている可能性もある。

 「・・・とりあえず行こうぜ、止まっててもしゃぁーねぇし」
 「だよね・・・でもミルは何のためにそこに向かってるんだろう?」
 「さぁな・・・。だけど1つだけ確信できんのが・・・」

 レトは顎に手を当てて言葉を詰まらせた。
 次の言葉に、3人はごくりと息を飲む。

 「・・・こりゃ、ぜってぇ次元師絡みってとこか」

 確かに、それは十中八九当たっている。
 蛇梅隊の次元師であるミルが、
 一体何のために閉鎖された研究所まで向かうのか。
 その目的は・・・既に次元師関連である事が証明されるだろう。

 「この道を・・・っと」

 センターの外れの森に入ったレト達は、大きな木々に見下ろされながら前に進んだ。
 幾ら前に進んでも辿り着けそうにない獣道に、かなりの体力は奪われたはず。
 それでもまだ目的地に着かぬ限り、4人は足を動かして進んだ。
 ようやく光が見えたと思い、レトはガサッ・・・という音をたてて前に佇む。

 目の前にあったのは、確かに閉鎖されたはずの大きな研究所だった。

 「この研究所・・・」

 レトは何かを呟いた。
 その言葉に興味を覚え、エンは横で腕を組んだ。

 「何か知ってるのか?」
 「まぁな・・・ちょっと」
 「ちょっと?」
 「あぁ。ここ、確か8年くらい前にすっげぇ実験やってたところだ」
 「すっげぇ実験・・・というと?」
 「確か・・・、次元技関連だった気がすんだけど・・・・」
 「思い出せないか。まぁいいだろう。とりあえず行くんだろう、あそこに」
 「ああ。入らねぇとな。・・・中にミルがいる」

 レトは1度深呼吸をして、体を落ち着かせた。
 これは単なる尾行などではない。
 途中から目的が変わってしまう。

 そう、
 これは列記とした次元師の問題。
 何故永遠凍結されたはずの8年前の実験が、
 また再開され始めたのか。
 それを突き止めるべく、レト達は次元師として、
 1歩前に進み出た。