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Re: 最強次元師!! ( No.659 )
日時: 2010/12/20 22:44
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: TV9sr51/)

第157次元 元魔の登場

 天から射す光の明るさだけで照らされたこの部屋。
 白衣の男もミルも、姿を消してしまった。
 2人がもういない事を確認すると、レトは手を挙げて合図をした。

 「・・・ふぅ・・・・」
 「どうなってるんだろう?さっき、ミルがいたような・・・」
 「これが結果だな。・・・つまりミル・アシュランはこの為に何日も行方を晦まして・・・」
 「にしても物騒だよなぁーっ。さっきの話もシリアスっぽかったしよー」
 「それに・・・何度かロクの名前が挙がったな」
 「あぁ。ミル・アシュランの本当の目的と言うのは・・・もしかして」
 
 エンは1度、レトに視線を移す。 
 レトはそれに答えるように、顔で合図する。
 うん、と頷くように。

 「・・・どうなってんだかなぁ・・・・」
 「とりあえず別の部屋に隠れよう?此処じゃいつあの2人が現れるか分からないし・・・」
 「だな。んじゃあ目の前の部屋に移ろう」
 「賛成。此処は危険だ」

 意見は一致。
 4人は1番奥の部屋へと静かに・・・音もなく進んでいく。
 部屋を覗いて真っ先に入ってきたのは、


 果てしなく広く、電灯に照らされた神秘的な部屋だった。


 「すっげぇーっ」
 「これが・・・研究所・・・・」
 「薬品とかもたっくさんあるーっ」
 「こりゃすげぇな・・・」

 絶句。
 4人は感嘆の声を挙げた。
 無理もない、この部屋の広さといい、静寂さ、そしてシンプルな上に精密に施された機械達。
 きっと此処が中心地なのだろう。
 研究者達の重みまで伝わってくる程だ。
 
 「こんなに汚そうに見えんのに、意外と細けぇのなぁ・・・」
 「こんな研究所があったとはな・・・」
 「うわぁーめちゃくちゃ興味あるなぁ、この研究所」
 「・・・この科学バカ」
 「・・・なんか言ったか?薬品飛ばしのお姉さん?」
 「や・・・!?と、飛ばしてないわよ!!」
 「ホントかよ。結構Sな癖に」
 「そういうあんたがSだァァーーっ!!」

 キールアは白衣の内ポケットから、
 なにやら水鉄砲を取り出した。
 透明なプラスチック製の2つの水鉄砲を、キールアはくるくると回す。

 「・・・なんだこれは」
 「ふふっ♪いいでしょー?これがあれば液体の薬品なんて、バンバン撃てるんだから♪」
 「・・・一応聞くが、誰に?」
 「・・・・・目の前にいる、科学バカに♪」
 
 無論、避ける暇もなく、
 キールアは水鉄砲を撃ち出した。
 レトに避ける暇を与えないその一撃は、
 見事レトの腹部を捉えた。

 「・・・ッ!!いっでぇぇぇぇ————ッ!!!」

 ひりひりと火傷のような激痛に襲われる。
 腹部を両腕で抑え、レトは悶える。
 溜め息をつくキールアを見て、レトは一喝。

 「ってめぇッ!!お前には優しさっつうもんがねぇのかッ!!!」
 「うっさいっ!!あんたが私の薬品をバカにするからよ!!」
 「バカにしたか!?Sっつっただけだぞ!!?」
 「それもダメなの!!」 
 「じゃあ何が良かったんだよーーッ!!」
 「何も良くあるかァァァーーッ!!」

 金髪同士の幼馴染の喧嘩は、いつ以来だろうか。
 ピリピリする2人を見て、エンとサボコロは呆気にとられていた。
 そこでポンっ、っとサボコロは2人の肩に手を置いた。

 「・・・夫婦喧嘩はいい加減にしろよ?」

 やれやれ・・・と大人ぶった声でサボコロは呟く。
 その言動に2人は顔を真っ赤に染めて・・・、

 「「誰が夫婦かァァァァァーー————ッ!!!!//////」」

 音量最大で、サボコロの耳元で叫んだ。
 その声の大きい事この上ない。
 すると、腕を組んで呆れていたエンの表情が、一瞬にして変わった。
 ぎゃあぎゃあと騒いでいた3人に、掌を伸ばした。

 「・・・何か来るぞ」

 低い声で、エンは真剣に言う。
 先ほどまで騒いでいた3人が、我に帰ってエンの背後につく。

 すると・・・何かが迫ってくる音がする。

 その音は完全にスピードを上げ、
 音も威力を上げて、近づいてくる。
 迫り来る恐怖と緊張感に、4人はごくりと息を飲む。

 「・・・来る———ッ!!」
 
 エンが叫んだのと同時。
 目の前には、何故か見覚えのある巨体が待ち構えていたのだ。

 「グアァァァァァァ—————ッ!!!!」

 次元師なら誰もが知るであろう、あの巨体を。
 所々を鎧で纏い、まるで怪物のような体つきに、真っ赤な眼。
 この恐怖感は・・・何度も味わってきただろう。

 「・・・元魔・・・・か・・・・っ」

 普通の元魔や新元魔より遥かに上回っているその巨体。
 振り下ろせばぺしゃりと潰れてしまうのではないかと恐怖を与える太い腕。
 ガルルルル…っとまるで犬のように元魔は佇む。
 4人はまたしても顔を頷き合わせる。
 これから始まる戦いに・・・備えて。
 
 広い研究所に突如現れた遥かな次元を超えた元魔。
 4人は戦闘体勢を崩す事なく、
 戦うために、走り、加速した。