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Re: 最強次元師!! ( No.769 )
日時: 2011/03/09 18:34
名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: yycNjh.Z)

第177次元 新メンバー、新副班長

 「・・・え?」
 
 一瞬、ロクは耳を疑った。
 普段と変わらぬ風景を見せたこの依頼室で、
 ロクは目をまん丸にして、驚きを見せた。

 何故なら、4日前に救い出したあの少女が、隊服を着てにこにこ笑っているからだ。

 「せ・・・セルナ!?」
 「は、はい・・・、私、今日から本部勤務になったんです・・・っ」
 「本部・・・勤務?」
 「はい・・・っ」
 
 一体何を話しているのだろうか。
 本部勤務とは一体…。

 「そうよ?セルナちゃんは正式な戦闘部隊の一員なんだからっ!!」
 「フィラ副班・・・!?」
 「びっくりしたでしょう?貴方達の事聞いて・・・私も驚いたわ」
 「って事はセルナって・・・次元師?」
 「ええ、そうだけど?」
 
 ロクは瞬間的に自分を凍らせたように固まり、床に手をつけて挫折する。
 気がつかなかった…と小さく声を漏らして。
 他の隊員達も騒ぎ立て、喜んでいる。

 「凄いですねぇー・・・これで12人目、ですか?」
 「でもどうしてここって同い年とか多いんだろー?」
 「さぁ。やっぱりそういう運命的なものがあるじゃないの、ルイル姉さん」
 「運命って・・・お前の口から聞きたくなかった」
 「何か言った、顔面少女」
 「だからちが・・・っ!!?」
 「へぇーっ!!かっわいぃーっ!!」
 「よ、よろしくお願いします・・・っ」
 「増えたなぁー・・・隊員も。それもよしよしっ!!」
 「俺とお前は入ってから日が浅いが?」
 「・・・・そこ、言わないで」
 
 1人1人感想を告げると、恥ずかしそうにセルナは赤面する。
 まさかあの少女が次元師だったとは…思いもしない収穫だ。
 
 「んで、キールアちゃん」
 「あ、はい」 
 「貴方に折り入って頼みがあるんだけど・・・」
 「何ですか?」
 「お願い!!六番隊に入ってくれる?戦闘部隊の!!」
 
 フィラ副班が両手を合わせてキールアにお願いをする。
 その光景に誰もが顔を振り向かせた。

 「えぇーッ!?私が戦闘部隊ですかァァ!!?」
 「うん・・・セルナ1人じゃ・・・可愛そうだし・・・お願い!!」
 「う・・・んー・・・」 
 「でもどうすんだ?」
 「え?」

 ふと、横から金髪の少年の声がする。
 すっかり…という訳ではないが、レトヴェールは体力も元気も取り戻し、ぴんぴんしていた。

 「キールアは守備型だし・・・セルナはなんか・・・」 
 「あぁ、そこは気にしないで?」
 「へ?」
 「彼女の次元技・・・攻撃型だから」

 フィラ副班がそう、自慢げに言い放つと、任務室も穏やかになる。
 だが見るからに内気で、弱弱しい少女だ。
 任務など…できるだろうか。

 「んで、六番隊の副班長なんだ、けど・・・」
 「誰がやんの?」
 「いや・・・それがまだ来てないらしくて・・・誰だか分かんないのよ」
 「なんだよ・・・」
 「でも、2人とも支部からだから、やっていけるとは思うわ」
 「・・・2人?」
 「ええ、セルナもその副班長も・・・同じ支部にいたらしいから」
 「そ、そうだったのか・・・」

 だが、まだフィラ副班の話す六番隊の副班となった班長の姿がない。 
 誰もがその人物に期待を寄せていたが…6時を回っていても来なかった。
 
 「・・・しょうがないわね、また今度」
 「ちぇ・・・まぁいいや」
 
 と、レトが軽く舌打ちをした瞬間、

 「ごっめぇーんっ!!遅れちゃったぁーっ!!」

 とても可愛らしく、幼いような女性の声が耳を過ぎった。
 その姿を見た時、フィラ副班は一瞬嫌な顔を浮かべて固まる。
 
 「ま・・・まさ・・・!?」
 「何驚いてんのよ、親友でしょー!?忘れちゃったの??」
 「み・・・ミラルーーーッ!!?」

 フィラ副班は大声でその名を叫ぶ。
 栗色のふわふわとした巻き毛。
 髪の上に乗った茶色のリボンカチューシャ。
 そして右と左で色の違う…美しい瞳。
 いかにもそこら辺の路地をちゃらちゃらと歩いていそうな女子学生に見えなくもないが・・・。
 だがきちんとした綺麗な顔立ちをしている。
 
 「ったくぅー・・・最低っ!!」
 「だって・・・ミラル・・・・?」
 「驚きすぎ、あたしだって次元師よ?知ってるでしょ?」
 「知ってるけど・・・・」

 確実に肝を抜かれたフィラ副班はよろっと眩暈がしたように立ちくらむ。
 目の前に親友がいる、その事実に打ちのめされたように。
 誰もが呆然と立ち尽くし、目が見開いている。

 「ちょっとちょっとー・・・歓迎されてないの?あたし」
 「ち、違うと思う・・・み、皆驚いてるのよ、ね、ねぇ?」
 「え!?・・・あぁ・・・・まぁ、うん」
 「ほ、ほらーっ!!」
 「・・・ぎこちないんですけどー?」
 「まぁまぁ・・・」 
 「ってか・・・ここってホント、女の子多いのねぇ?」
 「・・・え?」
 「だって、ひーふーみー・・・11人もいるじゃない」
 「・・・・は、はい?」

 何かの見間違いではないだろうか。
 だが、確かにミラルという女性は言ったのだ。
 女の子が11人だ、と。

 「ま・・・まさかとは思うけど、そこのバンダナしてる男の子以外女の子と・・・?」
 「え?違うの?」
 「・・・・」
 「・・・・」

 数十秒に亘る沈黙の後、1人の少女…いや、少年が大声を上げる。

 「だから俺は少女じゃね————————————ッ!!!!」
 「お、抑えて抑えて・・・っ!!」
 「わざとじゃないんですから・・・」
 「へ?」
 「・・・い、言っとくけど、蛇梅隊の戦闘部隊隊員は現在12名。そして男女共に各6名」
 「・・・う、うそォォーーッ!?女の子じゃないの!?」
 「・・・・・」
 
 後、フィラ副班は3時間にも及んでミラルという女性に男子、女子の名前と顔を覚えさせた。
 あまり納得のいかないミラルは最後に…、
 
 「・・・という訳っ!!」
 「へぇー・・・、男女各6名なんて、合コンできるんじゃなぁーい?」
 「あのねぇ・・・」
 「ま・・・とにかく可愛い男の子揃いって事ねっ♪」
 
 っと言って自分自身を納得させた。
 そして…。

 「んじゃ、改めて紹介しちゃうよー?」
 「はいはい・・・」
 「ミラル・フェッツェル。新しくできた六番隊の副班長を務めさせてもらうわねっ、宜しくぅっ!!」

 新しいメンバー、新しい副班長を加えた戦闘部隊。
 今まで以上に騒がしくなりそうだ。
 
 そして、レトヴェールは密かに思う。

 (この手の人・・・いつか来ると思ってたんだよなぁー・・・)