コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 最強次元師!! ( No.771 )
- 日時: 2011/03/16 14:31
- 名前: 瑚雲 ◆6leuycUnLw (ID: jBQGJiPh)
- 参照: インフルって何、美味s((ry
第179次元 砂漠に揺れる影
熱気漂う砂漠地帯の上で鳴り響く金属音。
機械兵器を完全コピーしたその物体が目の前に800以上も動いている。
金髪の少年は双斬を振るい、熱い砂の上を駆け巡る。
「く・・・っ!!こりゃ量が半端じゃ、ねぇな・・・!!」
後退りをするも、次々を襲い掛かって来る殺戮の兵士達。
幾ら倒してもきりがない。
果たして、僅かな元力が削られていくこの時間の中で、少年は戦っていられるのか。
限界なのか、視界が歪んで太陽がまるで微笑んでいるようにも見える。
なんて最悪な太陽だ、とレトも呟いた。
「レト・・・————っ!!」
ロクが背後で叫ぶが、レトはもう避ける気力が殆ど残っていない。
辛うじて兵士の攻撃が見えるが、この人数を相手にするには少なすぎる体力だった。
一方、その頃蛇梅隊本部では…。
「・・・何?」
「そうなんです、まだレトとロク、任務から帰ってないんですよ」
「どういうこったよ、それ。帰ってこねぇと俺の怒りがだな・・・」
「喧嘩は置いといて下さい。可笑しいと思いませんか?」
「?」
「レトとロクが選んだ任務の級は確か“D”。元力を一切使用しない軽い任務だったんです」
「ま・・・マジ?」
「はい。任務に行ってから、既に4時間以上経ってます」
「う・・・、嘘だろ・・・・」
「・・・砂漠を乗り越える時間を入れたとしても・・・遅すぎじゃないですか?」
がやがや…と騒ぎ立てる任務室の中。
ガネストとサボコロは2人で何かを話し合っていた。
「あの2人でも困難なもんがあるんじゃねーの?」
「そんな・・・!!あの2人に限ってそんな事は・・・っ」
「——————————————、それか、誰かに喧嘩を売られたか」
!!?、というマークが2人の頭上に上がる。
2人の横で足を組み、灰色の髪を掻き上げるその少女はそう冷たく言い放つ。
「てぃ・・・ティリでしたか・・・」
「・・・驚かすなよ・・・こえぇなぁ・・・」
「別に驚かしたつもりはないけど。・・・でも、2人が誰かと戦っているのは確かね」
「その・・・誰かって?」
「剣闘族の用意した—————、殺戮兵器ってとこかしら」
ティリナサ・ヴィヴィオは1つ溜息を漏らすと、その虚ろな瞳を動かして、2人の瞳を見透かすようにそう言った。
そして目の前にあるオレンジジュースを口まで持ってきてごくりと喉を鳴らし、全てを飲み干すと、また話し始める。
「剣闘族・・・・っ!!!」
「そんな・・・何で・・・」
「迷ってる暇はない。その殺戮兵器は今あの金髪と戦ってるのだと1000だけど、その背後にまだ複数存在する」
「え・・・!?レトは今その1000人と戦ってるんですか!!?」
「レト・・・無茶するぜ、あいつも」
「ええ・・・私の幽霊達の情報だとね」
「んじゃあ背後にまだ複数って・・・どれくらいなんですか?」
「2000や3000じゃない・・・きっともっとあの剣闘族は呼んでる」
思わず2人は息を飲み込み、言葉を失った。
レトヴェールがたった1人で1000体もの兵士に挑み、今もまだ戦い続けている。
それなのに…黙って見ていられるだろうか。
サボコロはぐっと拳を握り締めた。
「どうする?・・・———————、助けに行く?」
あれから、3時間が経過した。
レトは喉の奥が掠れる程、呼吸困難に陥っていた。
目の前に映る景色は—————、倒れ伏せた兵士の山。
その山の中で唯一、たった1人だけ少年は立つ。
震える足で、震える拳で…懸命に、立つ。
「はぁ・・・、はぁ・・・っ」
最早息も絶え絶えで、遂には双斬を拳から落としてしまった。
額から流れる汗も止まらない、レトは疲れ果てた体を保つ事ができず仰向けでそのまま倒れた。
「れ・・・、レト!!?」
立ち込める熱気と共に砂埃が舞う。
ロクは真っ先にレトに歩み寄って、何度もレトの名前を呼んだ。
見事なまでにやってしまった———————、“千人斬り”を。
(凄いや・・・、レトは)
双斬は心の中でそう呟くと、実体化する事なく消えていく。
「レト・・・、レトってばぁ!!」
「ったくうっせぇな・・・、死んでねぇって・・・」
「だってだってーーッ!!!」
半泣き状態でロクはレトの体を揺さ振った。
逆に血を口から吹いてしまう、とレトは体が揺れる中心底そう思っていた。
「くくく・・・、いやぁ見事だ、レトヴェール・エポール君?」
そんな2人を見て、少し遠くから手を叩く音が聞こえた。
卑しそうな笑みを浮かべてあの男が拍手をしているのだ。
「君には本当に驚いたよ・・・まさか1000体も用意していた兵士を全員、倒してしまったのだから」
「・・・・」
「で・も—————————、お楽しみはこれからだよ?」
再度聞こえてくる…鎧が触れ合い、動く度に鳴る金属音。
広い地平線の向こうに蠢いているその薄い影を見て—————、2人は絶句した。
まだいた————————、先程とは比べ物にならない程多量の兵士が。
「そ・・・・、んな・・・・ッ!!!!」
「・・・・ち、くしょ・・・・・っ」
目の前に佇む同じ格好をした同じ兵士達。
レトの体は言う事を聞かず、立つ事さえままならなかった。
「それじゃあたしが—————」
「・・・ダメ、だ・・・」
「・・・!?」
「お前が今元力使ったらどうなるか・・・、自分でも、分かってんだろ・・・・?」
「でも・・・・—————っ!!!」
心臓が飛び出す程高鳴り続ける。
レトの受けた傷跡から、どくどくと流れ続ける赤い血。
ロクが瞳から一粒の涙が流す、その時—————————。
砂漠の熱気とは違う“熱さ”が———————、ロクの横を過ぎる。
「—————————ッ!!?」
そして、轟!!っとその濁った音を鳴るのと同時、傍にまで接近していた兵士が、みるみるその炎に包まれ燃えていく。
「な・・・————ッ!!?だ、誰だ——————!!!」
ゆらり…と地平線の向こうに佇んだ紅の髪をした少年。
後に続き、ぞろぞろと背丈の似た人物達が姿を現した。
「よぉエポール義兄妹———————————」
その声を聞いて、2人は咄嗟に振り返る。
はっきりとしてきたその人物の顔が今——————、明らかになる。
「—————————、さっきの借り、きちんと返しにきてやったぜ?」
そう、見覚えのある仲間達の姿が———————、そこにあった。