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Re: *切恋華* $実話$ 二年生編、突入! ( No.955 )
日時: 2010/05/07 22:24
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: もうふじこlp;@だす((

第四十五話『どんぐりの背比べ』


**


移動教室の時間が終わり、また一人で廊下を歩いていると——……。


「待て——っ!」


遠くから、男子の声が聞こえた。
私は特に気にせず「普通の鬼ごっこだろう」と思いながらスルーしていると……。


「っ!?」
「——……!?」


怜緒が前から猛スピードで走ってきた。
ぶつかる……!?
——と思いきや、怜緒がギリッギリのところで避けた。


「……っ」


驚いた……。
私はその場で数秒間フリーズしてた。
顔が近かった、ぶつかりかけた、避けた——。
あひあひ、あひひん!


すると、


「待て、姫よ……っ、アーーーーーーッ」
「!?」


今度は前から続海が来た。
そして私の顔を見て、大絶叫。
続海は口をパクパクさせながら、私と怜緒を交互に指差した。


「……っちょ、何さ続海」
「姫吉……っ姫吉ーっ」
「は、はぁ? うざ」


続海は私の顔を見て、怜緒の苗字を絶叫。
私はなんだか恥ずかしくなり、その場から逃げた。


絶叫の中に取り残された怜緒の表情は、どんな表情をしていたのか——?
そんなの、今の私には知ったこっちゃなかった。


*放課後*


「今日も疲れた」


私は挨拶が終わると同時に、真っ先に教室を出た。
向かう先は、四組だ。
放課後は、私にとって学校生活の中の楽しみな時間の一つだった。


そのとき、


「……あ」


怜緒が前から歩いてきた。
筆箱を持ってる……ってことは、今日も委員会か。
お疲れ様ですのぉ……。
そう思ってると、怜緒は私の横を通り過ぎた。


**


「はろー和美」
「はろー」


和美が笑顔で出てきた。
私も笑顔で返す。


「ねぇ、和美。望に身長聞いた?」
「まだ! 依麻聞いたら?」
「えー」


望の身長を何で知りたいのかって?
それは——……。


*さかのぼることGW中*


「……あれ、望じゃん」
「え?」


和美と散歩して遊んでいた時、歩いていた望と遭遇。
和美が望の名前を呼ぶと、望は振り向いた。


「やっぱり望だ」
「おいどんぐり、今部活の帰りー?」
「うるせぇよ、ばーか」


相変わらず憎い奴だなぁ……。
私は軽く望を睨む。
すると和美が、


「望! 身体測定の時、身長何センチだったー?」
「え? 俺? ……俺、154!!」
「……え」


望の発言で私は固まる。
154——……だぁ?


私 よ り 二 セ ン チ で か い !


あの糞どんぐりが!?
あの小さい奴が!?
私よりでかいだとぉぉぉぉ!?


「え、嘘だ」
「本当だし。……あ、姫吉は155だよー」
「う、うるさい」


怜緒も155!?
でもまぁ、前の時身長でかかったし……。
でも怜緒の方が小さかったのに、あぎょぎょ。


まぁ怜緒はともかく……。
望は絶対ありえない。
私より目線下だし。


「嘘ついてるしょ」
「ついてねぇし」
「ついてる!」
「ついてない!!」
「ついてる!!」
「ついてない!!!」


ここで、私と望の言い合いから始まり喧嘩勃発——。
——って訳なんだけど、


「……私、実は望の本当の身長知ってるよ」
「え? 教えて!」
「えぇー、絶対言わないでよ」
「うん」


和美は、こそっと「148」と呟いた。
やっぱりアイツ、嘘ついてた……!
しかも、六センチもサバよむなんて!!


「絶対望に言わないでよ? 望が『絶対依麻には教えるな。アイツに負けたくない』って言われたから」
「……あの糞どんぐり」


うざっ!
そんなに見栄張りたいのか、ボケ!
きぃぃぃぃぃっ!!


私はイライラしながら、和美と立ち話をしていた。


**


「……いないね、依麻」
「別に居なくてもいい」


何故か話の流れで、望探しが始まった。
私は和美に引っ張られながら、廊下を歩く。


「依麻のILOVE望君が居ない」
「え!? 望なんか好きじゃないし、あんな糞男」


幼馴染の恋もあるけど、私はそうじゃないんだ!
アイツは糞生意気なガキなんだ!!
私が好きなのは、r……じゃなくて!!


「……っ」


あぁもう、恋の話になると自然と怜緒の顔が!!
憎いです、自分!!


「——あ、依麻! 望居たよ」
「げ」


和美が二組の方へ指を差した。
二組の前には、中山康佑って人と望と——……。
筆箱を持った怜緒が居た。


「望に聞いといで」
「え、ムリムリ。怜緒居るし……」


私から男子に話しかけるの、苦手なんだよ。
しかも怜緒が近くに居るとなると——。


「!」


和美の背中に隠れながら二組の方を見ていると、怜緒がこっちを向いた為軽く目が合った。
私は和美に話しかけるフリして自然に逸らしたが——。


「……」


どうしても、君が眼中から離れない。
私は和美と話しながら、怜緒をチラ見していた。


すると、望だけが一人で廊下に出た。


「もう、仕方ないなぁ。……望ー!」
「ちょ、和美!?」


和美が私を引っ張って、望を追いかける。
和美は「身長何センチーっ」と叫ぶが、望は完全無視。


「……チッ」
「ちょ、和美」
「てか、私が聞いてどうすんの。本当の身長知ってるし!」


和美が私にツッコミを入れた。
あがが、そういわれても……。
望、絶対教えてくれないし。


そう思いながらもう一回怜緒の方を向くと——……。


「…………」


もう二組の教室に入ったみたいで、居なかった。
私はなんだか、少し切ない気分になった。