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Re: 封魔士軍団—アボロナ— ( No.10 )
日時: 2010/03/05 11:02
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

3話




—キーンコーンカーンコーン—

学校のチャイムが鳴ると共に皆が席に着く。
なぜ学校かというと簡単なことだ。琥空は学生だからである。
封魔士になると言ったが本業は学生、学校に通いながらの副業だ。

「はぁ〜、思ったよりめんどくせぇ事を引き受けちまったな」

ちなみにちゃんとした封魔士になるための訓練のようなものが存在して、
それはしばらく後らしい。刹那曰く

『直接コアを埋め込まれた封魔士の訓練内容を仕立て上げるのに多少時間がかかる』

とか何とか。時間をかければどうにかなる問題なのかもわからない。
その時ポッケからある物が落ちる。お守りのような形をした物だ。
これは『守霊』と呼ばれる封魔士が仕事以外の時に身に着けている
いわば霊力を抑える道具らしい。

「こんなものにね〜」

それを拾い上げまじまじと見つめる。どう見たって普通のお守りだ。
しかも普通の人には見えないときた。

「さて、今日はビックニュースがある。こんな半端な時期だが転校生だ。しかも二人だ」

先生の言葉に教室がざわめく。転校生と言ったらどんな子か期待が膨らむサプライズイベントだ。
まぁ、ブスだったら皆萎えて終わりだけど。

「それじゃあ入ってきてくれ」

先生の言葉を合図に扉が開かれる。そして入ってきたのは女の子二人。
俗に言えば定番の男子がときめく美少女二人、なんだが

「・・・・・・」

琥空は言葉を失う。転校生二人というのは

「じゃあ自己紹介を」

「私の名前は双神刹那だ。これからよろしく頼む」

「えっと。天女乃鈴華。よ・・よろしくお願いします」

教室から拍手が飛び交う。ときに男子から。依然琥空は固まったまま

「ん?どうしたんだ琥空。一目惚れで言葉も出ないか」

隣の席の男子が笑いながらいう。

「そんな言葉で済んだらどんなに良かったかねぇ」

「そんじゃあ二人は獅子山の後ろの席な」

二人は歩き琥空に少しずつ近づいていく。そしてすれ違ったとき

「詳しい話はあとでする。だから今は騒ぐなよ」

小さな声でそういうと二人は席についた。



〜昼休み〜

さて本当はこの時間にいろいろ聞きたいかとがあった琥空だが
転校生への質問タイムでそれどころじゃない

「ねぇ、なんで双神さんはそんな男みたいな言葉使いなの?」

「だめか?」

「だめじゃないけど勿体無いよ。そんな綺麗な顔してるのに」

「二人は一緒に時期にこっちに来たみたいだけどなんか関係あるの?」

「いえ、これといった関係ではないですよ。偶然ですよ」

刹那は堂々と質問に答えているが、鈴華は少し緊張している感じだ。
まぁ普通はそうだろう。

—パリーン—

突然廊下の窓ガラスが割れた音がする。

「あ〜、まただよ」

女子の意外な反応に刹那は

「また?」

「うん。この学校ね。昔っから風も吹いていない、何かが当たったわけでもないのに
突然窓ガラスが割れたりすることが多いんだよ」

「突然割れるのか?」

「そう、まるで何かが突っ込んできたかのような割れ方でね」

その言葉に刹那と鈴華が目つきを変える。

「だから二人も廊下とか窓ガラス付近では気をつけなよ」

「ああ、そうすることにするよ」



〜放課後〜
『屋上に来い』

机の上にそう書き記された紙切れが置いてあったので琥空はそこにいる。
名前はなかったが誰が書いたのかは一目瞭然である。

「来たな」

現れたのはやっぱりあの二人

「よ〜転校生。転校初日から人をこんな所に呼び出すなんて気が早いんじゃないか?」

「・・・ぶたれたいのか?」

「おおっとそれは勘弁だ」

拳を固めて詰め寄る刹那に軽快なステップで後退る琥空。

「・・・私等がここに来たのはお前のお守りと調査だな」

「お守り?」

「そうだ。封魔士の力を持つが封魔士になっていない今のお前のような状態の者は
アマガミにとって最高の餌だ。いくら守霊を持っていても襲われるときは襲われる」

「そんで調査ってのは?」

「そっちの方が本命だ」

刹那の目つきが変わる。さっきの目つきと似ている。

「窓ガラスの件となにか関係あるのか」

「・・・少なからずな」

「琥空さん」

今まで喋っていなかった鈴華が口を開く

「なんだ?」

「窓ガラスが割れるようになったのは何時頃なんですか?」

「さぁな。この学校は古くからやってるからな。少なくともここ数年ってことはないだろう」

琥空の言葉に鈴華は少し渋った後

「実は窓ガラスが割れたときアマガミの気配を感じました」