コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 3話更新 ( No.14 )
- 日時: 2010/03/11 18:52
- 名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)
4話
「おいおい、それってやばいんじゃねえか」
鈴華の言葉に琥空は目を見開きいう。
「いや、特別大きな騒ぎが起こっていないから誰も襲われてはいないだろう」
鈴華の変わりに刹那が答える。
「おかしくねえか?もしさっきので本当にアマガミが入ってきていたとしたら、
もう結構時間が経ってるぜ。そいつは何をしてるんだ?」
「さあな。それらも含めて調査するために潜入したんだ」
「・・・そういえば、お前ら何の調査のために来たんだ?」
「それは・・・」
刹那が不意に言葉を切ると上を向く。そして顔を険しくすると
琥空を突き飛ばした。琥空はいきなりのことに受身も取れずに倒れる。
「・・・・・」
刹那に文句を言おうとした口がそのまま固まる。先ほどまで自分が立っていたところには
尖った刃らしきものがたくさん刺さっていた。
「でたな、アマガミ」
そう言うと刹那は妙な腰布を巻くと手を前に出す。すると何もない空間から突然長剣が現れた。
塚も鍔も刃も綺麗な銀色に輝く刀。刀を振り下げるとアマガミに向かっていった。
「驚きましたか。あれが私たちが持つ対アマガミ用武器、封器ですよ」
鈴華が琥空のそばに寄ってきていう。
「・・・それはなんとなく分かるが、何もないところから出すのはどういう原理だ?」
「何もなくないですよ。刹那さんはずっと持っていましたよ。ただそれを見えなくさしていただけ」
「さらにわけがわからなくなったから、説明をどうぞ」
琥空の不思議そうな顔をみてくすっと笑った後
「封具と呼ばれる封魔士軍団が開発した道具の一つですよ。物質を保有者にしか見えなくさせ、
さらに保有者にしか触れることが出来なくさせることが出来るんです。
ちなみに、琥空さんに渡した守霊も封具の一つです」
「なんでもありだな。封魔士ってのは」
琥空は呆れ顔でいった。そんな話の中にも目の前では戦いが続いている。
刹那は閃光のような動きで敵を翻弄する。相手はその動きについていけず、
そのままやられまくっている。
「なぁ、屋上でこんな激しいことしして目立つんじゃねえか?」
下には下校している生徒。部活をしている生徒でいっぱいである。
人目に付かないわけがない。だが、鈴華は余裕な表情で
「大丈夫ですよ。刹那さん、ちゃんと腰布巻いていますし。
・・・あれも封具の一種で身につけている間は自分の姿を消すことが出来るんです」
とかなんとか話している間に片付いたもよう。刹那がこちらに長剣を消して近づいてくる。
「余裕ぽかったな」
「当たり前だ。地の4段階ごときにやられるわけないだろう」
「地の4段階?」
さっきっから聞かない単語ばっかり耳にする。
「アマガミにも位というのが存在する。天、空、地の大きく分けた3枠とさらにその枠に
1から5の段階に分けて区別されている。天の1段階が一番強く、地の5段階が一番弱いとな」
刹那は説明をしながら腰に巻いた布をしまう。
「じゃあ、地の4段階ってのは雑魚中の雑魚ってわけだ」
「そういうわけだ。それじゃあ話の続きだ。私たちの調査はこの学校、
詳しく言えばこの土地の特有の力の調査だ。
君も知っての通りこの学校は昔から窓ガラスが割れるという事件が多発している。
もしそれがすべてアマガミによる進入の痕跡なら、この学校はアマガミを引き付ける力が
あるってことになる」
「どうしてだよ」
話をきいた琥空が尋ねる。刹那はため息をはくと
「アマガミの本能は強い力を持つものに喰らい強くなること。それなのに唯の人間が集まる
学校にこうも集まるのはおかしいだろう。そしてアマガミが入ってきてもアマガミは
大きく動こうとしない。不可思議なところが多いんだ」
「それじゃあ、お前らはなぜこの学校にアマガミが集まるのか、どうして入ってきたアマガミが
大した動きもしないのかを調べに来たのか?」
「ま、そんなところだ」
そういうと、屋上の扉に向かって歩いた。
「おい、どこ行くんだ」
「おそらく入ってきたアマガミはあんな雑魚一匹ではないはずだ。とりあえず・・・」
—ズドーーン!!—
空から何か降ってきたかと思えばそいつは琥空を連れてどっかに行ってしまった。
不意な事に驚きつつも、追いかけようとした刹那がそいつの目をみた瞬間に動きを止めた
「鈴華。今のは・・・」
刹那の頬に汗が流れる。鈴華も顔を青ざめて
「はい、地の1段階です」