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Re: 封魔士軍団—アボロナ— 5話更新 ( No.30 )
日時: 2010/05/09 14:49
名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)

6話




辺りに若干の沈黙が流れる。

『な、ワシはお主から生まれたのじゃぞ!?お主もワシの存在を感じたから
あのような事を言ったんじゃないのか?』

「いや・・食っても不味くて直ぐに吐き出して助かるかと思って」

「琥空さん、さっきからひどいです!!」

「君たちいい加減にしないか!!」

敵を目の前にくだらないことで言い合っている2人と一体に
刹那が呆れた様子で叫ぶ。
アマガミは突然現れた亀に警戒してか、立ち尽くしている。

『まぁよい。知らぬなら教えるまでじゃ。ワシの名は玄武、お主の《守りたい》
と言う気持ちによって生まれたお主の化身みたいなものじゃ』

「ふ〜ん。でさ、蛇亀」

『誰が蛇亀じゃ!』

玄武の言葉を無視して自分の意見を告げる。

「どうすれば、あの蜘蛛倒せる?」

玄武は目つきを少し変え

『ワシには倒す力はない。先ほども言ったじゃろ。お主の守りたい思いによって生まれたと。
ワシが出来ることは相手の攻撃を防ぐだけじゃ』

そこまで話すとアマガミは耐えられなくなったのか、もう一度鈴華に襲いかかる。
鈴華はそれを避けるが、後を追い追い打ちをかけてくる。

『ワシの盾(こうら)を使え』

「盾ってどうやって?」

『お主が願えば自然と現れる』

琥空は鈴華の方に目をむける。すると鈴華とアマガミの間に亀の甲羅が現れた。
アマガミは何度もその鋭い脚で壊そうとするがびくともしない。

『ワシの盾の硬度はお主の気持ちで幾らでも強くなる。肝に銘じておけ』

アマガミは諦めて今度は手負いの刹那の方に向かった。

『ゆけ、蛇よ』

玄武が言うと体に巻きついていた蛇が離れアマガミに巻きつく。
アマガミは苦しそうに動きを止める。蛇の締め付けが緩くなっていく。

『ほれ、何をしている。あれもお主が願えば強くなれる』

その言葉に琥空は強く思う。途端に蛇の締め付けが強くなる。
アマガミは完全に動きが停止した。

「いくら手負いでも動けない相手ぐらい倒せるよな」

琥空がそう刹那に微笑みかけると、刹那は静かに刀を出した。

「君は誰に物を言っているんだ」

動けないアマガミに刹那がとどめを刺した。アマガミはその場で消えてなくなった。

「ふぅ〜。捕食完了」

刹那は静かにそういった。

「捕食って?」

「封器にアマガミの力を喰わせることを言うんだ。前に話したな、アマガミは
人の霊力を自分の力に変えて強くなるんだと。
それはアマガミにも有効だということだ。そうすることで我々の封器自体が強くなっていく」

そういうと、封器をしまって腰を降ろす。だが、突然立ち上がるとスタスタと歩きだして

「こら、鈴華!!あれほど勝手な行動をするなといっただろう!!!」

「ごめんなさい!!」

鈴華に怒鳴り散らす。鈴華も覚悟をしていたのだろう、素早い反応で謝る。
だが、刹那の説教はそれだけでは済まなかった。

「単独行動なんかして。お前のその早まった行動でもし喰われたらどうするつもりなんだ!?
アマガミがさらに力をつけ、さらなる被害が出ていたかもしれないんだぞ!?

いくら、琥空を助けたいからって考えもなしに敵に突っ込んだってどういう結果が待っているか、
経験の浅いお前でもわかるだろう」

「すいませんすいません!」

二人のやり取りを見ていた琥空だったが、急に意識が薄れてきて倒れてしまった。