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Re: 封魔士軍団—アボロナ— 8話更新 ( No.38 )
日時: 2010/06/12 11:35
名前: アビス (ID: 4K4kypxE)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

9話




あれから結局、刹那は琥空の両親に話が出来なかったが
ちゃんと琥空が自分でしとくというので、不安がある中家を後にした。
それで今どこにいるかというと・・・

「ほら、速く水着に着替えてこい!遅れたら筋トレさせるぞ」

学校の体育の時間。今日はプールで必然、男子の目がいつもより女子に
向かってしまう時間だ。

「くぅ〜。プールはやっぱ最高だな!目の保養が凄まじい・・・」

琥空の隣りの男子生徒がそんな事を言いながら鼻の下の伸ばしている。
そんなんでも授業は始まり、皆がはしゃぎ出す。
その時、ある女子生徒が先生に叫んだ。

「先生!あの、プールが・・・!」

「本当か!?・・仕方ない。皆!はやくプールサイドに上がりなさい」

先生の命令で皆がプールサイドに上がっていく。そんな中若干遅れ気味の生徒がいる。
鈴華と刹那だ。

「なんだ、一体どういたというのだ?」

「あ、そっか。刹那ちゃんは初めてだもんね。後で説明するから
今はとりあえず上に上がって、ほらほら!」

女子生徒に急かされ上がる二人。すると、無人のプールの水が忽然とうねり始めたかと思うと
どんどん荒れていった。

「なんだこれは?」

刹那の問いに女子生徒は困った表情で

「何って言われてもプールの水がうねってるとしか言えないんだけど・・・。
まあ学校の七不思議の一つだからね、これ」

「学校の七不思議?」

「そう、不定期にこうやってプールの水が突然荒れるの。
始めは誰かの悪戯って思われてたみたいだけど、そんな装置なんてうちの学校にはないしね。
だから、七不思議になったの。あ、そういえば校舎の窓ガラスが割れるのも七不思議の一つだよ」

女子生徒が丁寧に説明してくれた後、刹那は考え深い顔でそうかと頷いた。
それからしばらく経っても水はいっこうに静けさを取り戻さなかった。
すると、刹那が琥空に近づいて他の者には聞こえないほどの小声で

「先日に腰布を貰っているな?今すぐそれを装着するぞ」

「それってもしかして」

「ああ、アマガミの気配がする。プールの中からだ」

琥空はトイレに言ってくると口実をして腰布をしてきた。
これの効果は聞いていたが、実際にしてみると妙な気分だ。
自分がそこにるのに誰も気づかない。

「透明人間ってこんな気分なんだろうな」

「何を言ってるんだ君は」

琥空の感想にため息を吐きつつもプールから目を逸らさない。

「けど、本当にいるのか?俺には何にも感じないが・・・」

そう言って琥空はプールに手を突っ込み、ジャブジャブさせる。

「おい、こら!無闇に水に触れるんじゃ・・・」

刹那が琥空の行動を注意しようとしたとき、アマガミの気配が強まったのを感じた。

「琥空!速くそこから離れろ!!!」

叫んだがもう遅かった。離れようとした琥空だったが、水が自分の手を縛るようにくっ付き、抜け出せなくなってしまった。
そしてそのまま水が天に向かって上昇し、琥空は宙吊り状態になってしまった。
刹那は舌打ちをすると。

「鈴華!あの馬鹿を助けるぞ!!」

「は・・はい!!」

鈴華が刹那の言葉を合図に扇子の封器を出す。その時にはすでに刹那は剣を出し、走り出していた。
高くそびえる水柱からぼこぼこと表面が泡立ったと思ったら、
そこから鞭状の水が無数に現れ、刹那に襲いだした。

「地の2段階というところか・・・」

刹那はそう呟きながら襲いかかる水の鞭を切り伏せて一気に琥空の所まで登りつめると、
琥空を縛っている水の縄を切る。

「助かったぜ!」

琥空が地面に落ちていく。それを追うように水の鞭が伸びていく。
地面に着地した琥空は直ぐに振り向き。

「頼むぜ!亀爺!!」

『誰が爺じゃ!』

鞭を防ぐために自分の前に盾を出す。
水の鞭は盾に当たり形を失ったが、水の一部が盾を通り抜けてきた。
予想外の事に、その水を思いっきりかぶる。

「げほっげほっ!うげ〜、少し飲んじまった」

『どうやら、わしで防ぐ事が出来るのはアマガミのものだけらしいな』

「プールの水を操っている力は防げたけど、プールの水自身は防げなかったってことか。
う〜、気持ち悪〜!」

顔色を悪くして蹲る琥空を見て刹那が意外そうな顔で

「君は意外にデリケートなんだな」

その言葉に琥空は苦しそうに笑いを浮かべながら

「俺を心配してくれんのは嬉しいけどさ、どうすんだ?こいつ切っても意味なさそうだぜ」

「どうにかして、本体とプールの水を離せばなんとか・・」

向かってくる水の鞭を切りながら鈴華が言う。しかし、アマガミは考える時間も与えないように
連続で水の鞭を振ってくる。それをかわし続ける3人。

「だあ、もう!!」

向かってくる無数の鞭に苛気がさし、玄武を出す。が、やっぱりプールの水は防げず被る。
それに耐え目を開けると今までの玄武とは違う事が起きた。

「・・・おい、お前何時の間にそんな成長したんだ?」

そう、今までの盾の大きさとは違っていた。

『馬鹿いうてんじゃないわい!お主がたまたま力任せに放ったのがたまたま、大きくなっただけじゃ』

「・・・偶然づくしだな。けど、もしかしたら・・・」

琥空は何か思いついたらしく、プールの方に体を向けると何か強く念じ始めた。
その間にも琥空に水の鞭が襲うが、琥空はまったく動かない。

「切り切り舞!」

鈴華が遠くから扇子を振り下ろす。すると、琥空に向かっていた鞭が人知れず切れた。

「サンキュー、鈴華」

琥空が礼を言うと、鈴華は嬉しそうに小さく頷いた。

「そんじゃあいくぜ!おらああああ!」

琥空が思いっきり手を腕に上げる。しばらく何も起きなかったが
ゴゴゴ!と音がしたかと思うと、水が盛り上がり始めた。
その様子を見ていたなるほどなと頷くと

「プールの水は防げないということは、逆にいえばアマガミだけは触れること出来る。
それで、盾を巨大化させてプールを囲んでプールの水ごとアマガミを引きづり出そうというわけか」

「らあああああああ!!」

玄武の盾が完全に浮上しプールの水も完全に静けさを取り戻した。