コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 12話更新 ( No.46 )
- 日時: 2010/08/13 13:42
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
13話
「なんだ?その肩に乗っている鳥は?」
「可愛いだろ?俺の愛人だ」
『主、冗談を言っているときではありませんよ。
まずは2匹のアマガミを倒した方がよろしいかと』
「はいはい。いくぜ朱雀。浄火の羽根・ホーリーフェザー」
琥空の左腕に生えた翼から羽根が辺りに飛散した。
ツルを操るアマガミと昆虫型の爆弾を使うアマガミはその羽根に触れた瞬間から
少しずつ体が燃え始めていった。
火を消そうとするとさらに他の部分に火が移り、どんどん広がっていく。
『無駄ですよ。その羽根は貴方がたアマガミにのみに発火します。
そして一度燃えれば水に付けても消えはしませんよ』
「恐ろしい能力だな。それにアマガミにだけ有効ってのは蛇亀と同じなんだな」
『蛇亀?・・・ああ、玄武さんのことですね。
私たちは他の封魔士の方の封器とは違い、物質で出来ていませんからね。
その点では私たちはアマガミに近い存在なのかもしれませんね』
そこまで言うと朱雀は琥空の肩から降り、紫音たちのもとに舞い降りる。
『主、彼女らの状況はまだ良くはありません。私の力を使い治療しましょう』
「お前、そんなことも出来るのか?」
琥空がそう驚くと、朱雀は小さく微笑み
『どちらかというと、こちらが本業ですよ。私はあなたの《救いたい》という気持ちで
生まれたのですから。ですからその翼の力は霊体の彼女たちにでも有効ですよ』
「わかった。癒しの炎翼・キュアウィング」
左腕の翼が紫音を包むと紫音の首の絞めつけられた痣が消え、呼吸もかなり落ち着いた。
同様に音穏も同じように翼の力を使って直す。
「ん・・んん。・・・あれ、ここは?」
「気がついたみたいだな音穏」
音穏は琥空の顔を見ると、あーーー!!、と指を指して言った
「あんた、何でここに!!?・・・ああ!!紫音!!!
紫音!!どうしたの!!?ねえ!!」
音穏は紫音を体を揺すりながら言った。
「落ち着けって音穏」
『そうですよ。そんなに揺すってはいけません。安静にさせてあげなさい。
大丈夫ですよ。彼女は無事です。ただ今は少し眠っているだけです』
「そう・・なんだ。良かったぁ。本当に良かった」
音穏がそっと胸を撫で下ろす。その頭を琥空は優しく撫でた。
音穏はその琥空の行動に驚きながらも、そのままされている。
「・・・あんたって、そんな風に優しくする奴だったっけ?」
「おっ!やっぱこういう方が女性に好かれるか?」
「・・・やっぱあんたの性格、よく分かんない」
そう言うと音穏は琥空の手を退かす。琥空もそれで区切りをつけて立ち上がる。
「さてと、次はあんたの番だぜ」
そう言って琥空は振り向くがそこに男の姿はなかった。
『どうやら退いたようですね』
「みたいだな。まぁ、この二人が無事だったから良しとするか」
——————————
「本当に今日はありがとうね、琥空」
あの後夕暮れ時、紫音と音穏はこの町を離れることにしたらしい。
「親の仇はもう良いのか?」
「正直まだ。でも、今日のことで改めて分かったから。私にはまだ、紫音が居てくれてるって。
これでもし、今度は紫音がいなくなっちゃったら、私本当に・・・。
だから、これからは成仏するまで二人で平穏に暮らすことにした。
この町にいたらまた仇を探したくなっちゃうからさ」
「そっか。良かったな紫音、お前の願い叶って」
紫音は小さく頷くと、琥空に歩みより頬にキスをした。その行為に琥空も音穏も目を丸くした。
「感謝の印。それじゃあ、さようなら」
紫音は初めて照れくさそうな表情をするとそのまま去って行った。
音穏はしばらく固まった後、紫音の後を追って走りだした。
「ねえ、紫音。何で最後にあんなことしたの?」
さっきの行為に対して音穏が問い詰めると、紫音は僅かに微笑みながら。
「きっと、音穏には分からないと思う。彼の良さが分からない音穏じゃあね」
なんてよく分からない回答をするだけで、紫音はそれ以上答えはしなかった。
—————?????—————
「お帰りなさい。どうだった?」
「ああ、予想以上に進んでいた。このまま行けば・・・」
「そう。けど、あまり無茶はしちゃダメよ。あなた、それでなくても体弱いんだから」
「分かってる。だが、こんなところで立ちどまってはいられない。・・・そうだろ?」
「ええ。私たちの夢はまだ遠く先ね」
—————学校—————
「ずっと、思ってたんだけどさ」
「なんだ、やぶからぼうに?」
「アマガミって何なの?」
刹那たちの調査に付き合わされていた琥空が刹那にそう言った。
刹那は眉を細めて琥空を見る。
「前に言っただろう。アマガミは私たち霊力の高い人間を襲い、その力を・・・」
「そうじゃなくて。あれが何から生まれてるのかってこと。
あれも霊なのか。それともまったく別の何かか?」
琥空がそういうと、刹那は興味なさげにさあな、と答えた。
「そんなこと知らなくてもいいことだろう。
あれは人を襲う。滅しなければならない存在。それだけ分かっていれば十分だ」
刹那はそういうが、琥空はどうも気になってしょうがない。
そんな様子を見て鈴華が言った。
「なら、トルニスに行って調べてみたらどうですか?
あそこにある資料室なら何かしら分かると思いますよ」
「トルニスか・・・。あそこ嫌いなんだよな。わけわかんねえ奴沢山いるし」
ぐちぐち言った琥空であったが、やっぱしどうしても気になるのでトルニスに寄ることにした。