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Re: 封魔士軍団—アボロナ— 13話更新 ( No.47 )
日時: 2010/08/24 11:42
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

14話




—————トルニス—————

トルニスに着いた琥空たちはそれぞれ別行動をとった。
刹那は任務報告。琥空はアマガミについて調べる。鈴華は

「私も暇なのでご一緒します」

と、言うことで鈴華も琥空と一緒に資料室にいる。
資料室の中は思ったよりも広く、学校の図書室ぐらいはある。

「アマガミアマガミっと・・・・んん〜〜〜。ないな」

「そうですね。・・・あっ、こういうのはどうです?」

鈴華がそう言って取り出したのは文献だった。

「これは封魔士に関する文献のようですから、もしかしたらアマガミについて
書かれている事があるかもしれませんよ」

そう言って文献を開くと、中はびっしりと文字で埋め尽くされていた。

「・・・・『アマガミの出現は我ら人間が戦争を起こすと同時に現れた。
アマガミは人を喰らい力を付け、そしてまた人を喰らう。
その負の連鎖を断ち切るべく立ち上げられた組織が今の封魔士軍団の大元になる。

当時の封魔士は今とは違う方法でアマガミを滅していたらしいが、その方法はいまだ不明。
封魔士軍団が設立されたのはそれから500年後になる。創生者の名は神路 光波』」

「神路って統帥と同じ名字だな。代々続く家系なのか?」

「さあ、私も初めて知ったので何とも・・・。
『神路 光波はアマガミを倒すもっとも有効な手段を見つけた。
それはアマガミの心臓とも呼べるコアを使い、武器をアマガミ化させるというものだ。

アマガミ化すると言っても大それたことでもなく、武器にコアを組み込むことで、
普通の攻撃では倒せないアマガミをアマガミの力で倒すということだ。

しかもこのコアはアマガミ同様進化する。強い力の者を倒せば倒すほど
コアも進化していき、強くなっていく』

書いてあることを読み上げながら、ページをペラペラめくっていた鈴華が後ろら辺で手が止まる。

「・・・これは今でも書き記されているようですね」

「そうなのか??」

「はい。『創立から1012年。ここにきて封魔士に新たなタイプが生まれた。
それはコアを武器を媒介にして操るのではなく、直接体に埋め込み操るというものだ。

これにより、今までの封魔士以上にコアの力を制御できるようになり、特別な力にも目覚めるようだ。
この研究が進めば、封魔士軍団にさらなる栄光が約束されるだろう』」

その後ろは白紙になっていた。鈴華は本をパタンと閉じた。

「それは俺の事だな。これで俺も歴史の1ページになれたってことか」

「相変わらずポジティブ思考ですね」

柔らかい苦笑を浮かべながら鈴華が言った。その時鈴華はふと琥空をみてあることに気づく。

「・・・あの、琥空さん」

「ん??」

「胸にそんなタトゥー入れてました?」

鈴華に言われ鏡を見てみると、確かに服の下から少しだけ何かが見えていた。
服を脱ぎ、確かめてみるとそこには左胸の辺りに大きな模様が浮き出ていた。

左胸に何かの文字らしきものを中心にその上半分を荊棘のようなものが伸びている。

「・・・誰が寝ている間にこんなものを・・・」

「いや、さすがにそれほどの大きなものを寝ている間にはちょっと・・・・」

「冗談だよ。左胸ってことはやっぱコアと関係してんのかな?」

服を着替えながら言う琥空に鈴華はあごをつまんで考える。

「どうでしょう?とりあえず、統帥に聞いてみてはいかがです?」

「だな。と、その前にこいつらに聞いてみるか。蛇亀!朱雀」

『なぜ朱雀はそのまま朱雀なのじゃ』

『まあまあ、玄武さん』

出てきたのは朱雀と玄武。二人の周りをぷかぷか浮いている。

「あ・・あの、こちらの赤い鳥は?」

「そういえばまだ言ってなかったな。俺の中の力の2つ目、朱雀」

『よろしくお願いね、可愛いお嬢さん』

朱雀の優しい言葉に鈴華は顔を赤くする。

『それが先ほど言っていたタトゥーかの』

『申し訳ないですが、私たちはこのことについては何も分かりません』

「そっか。じゃあやっぱ統帥のところに行くしかなさそうだな」

——————————

統帥の所に行くとまだ刹那が話しこんでいた。

「おや、琥空さんと鈴華さん。二人揃ってどうしたんです?」

相変わらず柔らかい物腰で話しかけてくる。
琥空は黙ったまま上の服を脱ぐ。統帥は琥空の胸のタトゥーを見ると眉をひそめた。

「それは?」

「俺にもわかんねえ。統帥なら、何か知ってんじゃないかと思って。
多分コアが関係してると思うんだが」

統帥はじっと見つめたまま何も言わない。どうやら分からないようだ。

「それが何かは分かりませんが、一応身体検査をしておいた方が良さそうですね」

この後、検査を行ったが体には心身ともに異常はなくコアの方も正常に稼働していた。

「とりあえず害はないようですね」

統帥はカルテを見ながら言った後、琥空の胸に手を当て何かを呟く。
すると胸のタトゥーがどんどん薄れていき、消えてしまった。

「そんなタトゥーが入っていると学校生活にも支障が出るでしょうから、
私の力で視覚出来ないようにしておきましたよ」

「統帥そんなことも出来るんだな」

検査を終え、服を着替えて終わった琥空が言った。

「大したことないですよ」

統帥は小さくそう呟くだけで、あとは何も返事はしなかった。