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Re: 封魔士軍団—アボロナ— 17話更新 ( No.55 )
日時: 2010/09/25 23:14
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

18話




「遅い!!何をやっているんだ君は!?」

刹那の怒鳴りに琥空は皮肉めいた口調で

「すいませんねぇ!まさか海辺にもアマガミがでるなんて思ってなかったもんですからぁ!」

そう。いま海辺の状況は大変な事になっている。
一匹の大きな亀型のアマガミはそこらに甲羅から生えたミサイルを撃ちまくっているのだ。
一般人にはアマガミは見えなくても、ミサイルの衝撃は本物だ。

「琥空!君は玄武で一般人に被害が出ないように食い止めろ!鈴華、いくぞ!!」

「はい!!」

「おい、おい・・・。食い止めろって・・・・幾つあると思ってるんだよ!!?」

向かってくるミサイルは半端ない。とてもじゃないが、琥空一人でどうにか出来る数じゃなかった。

「でもやるしかねぇか・・・。蛇亀!!」

琥空はとりあえず玄武を出来るだけ巨大化させ受け止めさせた。
それでもはみ出たミサイルは朱雀の翼で切り裂いていった。

————————————————————

「砂塵の舞!!」

鈴華は封器・・・アリナを使って砂を操り、アマガミを囲った。
アマガミは突然現れた砂の壁に動きを止める。その隙を衝いて刹那はミサイルの発射台を切り裂いた。
だがアマガミはすぐに発射台を再生させた。

「高速再生か。厄介だな」

刹那は悪態をつきながらももう一度、発射台を切り落とそうとした。だが、今度はそうはいかなかった。
甲羅からミサイルとは別に剣が飛び出してきたのだ。
なんとか刹那はフォルナで受けるが、甲羅はすでに剣山状態になっていた。

「こちらに対して適応した姿になったか。本当に厄介なアマガミだ。空の5段階か?」

「おい、刹那!!」

琥空の呼びかけに刹那は顔を向けず、なんだ!?と声だけで返事をする。

「いっそのこと場所を変えた方がいいじゃねえか?ここじゃ一般人が多くて危険だし、
何より一般人を守るだけじゃ俺がつまらないんだが!!」

琥空の筋の通った言い分と、我がままな言い分を聞いて刹那はため息を漏らした。

「・・・確かに、一般人の命を君に任せておくのは危険すぎるな」

「おーーい・・・。俺はしっかり守っているぞ」

「でもどうやって場所を変えるんだ?こんな大きなもの。どうやって移動させる気だ?」

「アマガミは霊力の高い奴に向かって行くんだろう?なら俺らが移動すれば着いてくんじゃね?」

刹那はなるほどな、と言いたげな表情をするとその場から離れた。続いて鈴華、琥空も
人がいない安全な場所に移動する。
思惑通り、アマガミはことらに向かって進みだした。だが、思わぬ事態が起きた。

「危ねえ!!!」

琥空が叫ぶ。アマガミの進行方向に子どもが飛び出してきたのだ。玄武でミサイルの落下を
防いでいる範囲に子どもが安全だと思いこみ、出てきたのだ。
アマガミの足が子どもの真上まで迫っていた。

「くっそぉ!!間に合わねえ・・・!!」

『・・・・っち、馬鹿が。てめーは本当に無力だな!』

—ズドーーン—

突然、青い何かが飛び出しアマガミに突撃した。それは巨大なアマガミが吹き飛ぶほど力だった。
青い何かは不機嫌そうな顔をしながら琥空の前にやってきた。それは龍の姿をしていた。

「なぁ・・・今、俺の体からでたよな?」

琥空が自分の身体を摩りながら、目の前の龍に話しかける。
龍の顔はさらに機嫌が悪そうに、眉をひそめる。

『ああ??そんなの見ればわかるだろう、カス!本っ当使えねえ奴だな、てめーは!!』

「・・・・てめー、ガチで口がわりーなぁ」

琥空が顰めっ面で龍を睨む頃、アマガミは起き上がりこちらを睨んでいた。

「んで、お前は俺のどんな気持ちで目覚めたんだ??」

『俺がてめ—ごときの気持ちなんで目覚めるか。俺は俺のために生まれたんだよ。
てめ—に死なれちゃ俺も困るんでな。
俺の名は青龍。俺の力をてめーに貸してやるよ。それで精々死なねーように気を付けるんだな』

青龍は青い光に包まれると、琥空の右手に巻き付いた。光が消えた時、琥空の右手には
龍を模したガントレットがはめられていた。

「確かに蛇亀が言ってた通り、青龍は不良だな」

琥空は拳を強く握りしめると、アマガミに向かって飛んだ。

「轟龍撃!」

琥空が拳を突き出した、ガントレットから腕に龍の刺青の様な物が伸びた。
龍の頭は口を開けると、そこから炎のような刺青が生まれる。
その炎は現実となり、琥空の肩から青い炎がまるでブースターの様に一気に、噴出した。。

その時琥空は自分の拳とは思えないほどの力を感じた。その拳がアマガミに当ると、
その瞬間先ほどまでのアマガミのミサイルとは桁違いの砂が巻き上げられた。

その衝撃が近くに立っていた刹那たちにも届くほどだった。
そんなパンチを喰らったアマガミは成す術なく、そのまま葬られた。

「すげー破壊力だな・・・」

琥空があまりの破壊力に呆気にとられている。と、ガントレットが元の龍に戻った。

『ったりめーだ!なんてったって俺の力だからな』

「お兄ちゃん!!」

すると、先ほどアマガミに踏まれそうになっていた子どもが琥空に話しかけた。

「んぁ?なんで俺の姿が見えてんだ。ちゃんと腰布巻いてんのに・・・」

「おそらく、お前とアマガミの強烈な霊力を当てられて、彼に眠っている霊力が覚醒してしまったんだろう」

そこに刹那と鈴華がやってきた。

「ありがとうね、お兄ちゃん。でっかい怪物をやっつけてくれて!!
それとドラゴンさんもありがとう!!」

子どもの無邪気な笑顔に青龍は鼻を鳴らすとそっぽを向いた。
それを見て、琥空がにやけ面で

「おまえ〜〜。本当は子ども大好きだな〜〜??
だから、こいつが踏まれそうになった時出てきたんだろう〜〜?」

『・・・てめ〜〜。それ以上何か言ってみろ。そのない脳みそを本当に空にするぞ』

「あははは!!図星か!!?」

『てめーーーー!!!』

しばらく青龍と琥空の組手が続いたとさ。