コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 18話更新 ( No.57 )
- 日時: 2010/10/07 17:47
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
19話
「よし!!覗きに行くぞ!!!」
「・・・いい加減にしろよ、タイショウ」
その日の夜、また懲りずにタイショウはそんな事を言っている。
流石にもう、琥空も清水も行く気はしない。
「タイショウ・・・残りの5日間、先生の部屋で正座して反省文を書くなんてことしたくないだろう?」
—コンッコンッ—
「・・・はい」
ノックの音がして清水が向かう。暫くすると顔を出して琥空を呼ぶ。
「鈴華さんが呼んでるよ」
「なにーーー!!鈴華さんが!?それは行かなければはぁぁっ!!!!」
「分かった。今行く」
ドアに暴走するタイショウに腕を上げるだけのエルボーを食らわしそのままドアに向かった。
「あ、琥空さん」
「・・・・・」
ドアに向かった琥空が鈴華を見て固まる。それを不思議そうな顔で鈴華が
「あの・・・どうしたんですか?」
「いや。お前って何着ても完璧に着こなすよなーって思ってな」
鈴華は今宿泊地に置いてあった浴衣に身を包ませていた。
まぁ、琥空の言う通り着こなし方が完璧だ。
「い・・いえ、そんな・・・・。そんなことより、少し付き合ってくれますか?
大事な話があるので」
顔を赤らめながらも、自分が来た理由を告げる鈴華。話したい事ってのは
十中八九封魔士に関係のあることだろう。
「わかった。清水、タイショウのこと任せた」
「うん。分かった。見回りの先生には気を付けて」
————————————————————
「・・・来たか」
鈴華に連れてこられる場所にはやはり刹那がいた。
「・・・お前は違った意味で着こなしているな」
「・・何の話だ?」
「いや、こっちの話し。・・・で話ってなんだ」
浴衣の話は置いといて琥空は本題に入った。
「ああ、指令だ。獅子山琥空、即刻本部に帰還せよとの事だ」
「はぁ!?」
行き成りの事に理解できない琥空。だが、刹那は冷静に琥空を見つめた。
「君に埋め込んであるコアについて気になる点が出てきた。
それを調べるために帰還する必要だある」
「そんなの、この合宿が終わった後でも十分いいだろ。何でそんな急なんだ?」
「・・・・今、君の中の力は何個目覚めた?」
「ああ?・・・3個だが?」
話の方向が突然変わった事に訝し気表情を見せるが答える琥空。
「以前君の胸から妙な模様が浮き出ていた事があったな?それは今は
統帥の力で視覚出来ないようにないいているが、今君のその模様、
どの程度伸びているか知っているのか?」
そう言うや否や、刹那は琥空に向かって抜刀した。
刹那が切ったのは琥空に掛っている統帥の掛けた呪いだ。
それにより、琥空の胸の模様が露わになった。
刹那は手鏡で琥空に自分の顔がどうなっているか見させる。
そこに映し出されていたのはタトゥーが目の付近まで伸びている、琥空の顔であった。
「・・・おおっ!恰好良くなってんじゃん、俺」
「馬鹿者!」
「いってぇ!!」
頭を摩る琥空。だが、タトゥーの影響で別人のような錯覚する刹那と鈴華。
琥空は起き上がると自分の身体を確認する。すると、タトゥーは顔だけじゃなく、腕の方にも伸びていた。
「分かっただろう。君の身体に何が起きているか分からない以上、このまま君を放っておくのは危険なんだ」
「・・・勝手にこんな身体にしといて、危険子扱いかよ」
刹那の言葉に琥空が二人に聞えないように呟く。
「何か言ったか?」
「んん、別に。後、戻るのは勘弁だよ。こんな楽しい事投げ出してやらなければならない事なんてねーよ。
俺は封魔士になるとは言ったが、封魔士の教えに従うつまりはまったくない。
俺は俺のやり方で封魔士の仕事を全うする。じゃな」
軽く手を上げその場から立ち去ろうとする琥空。だが、それを許す刹那ではなかった。
—ドスッ!—
「本部からの命令は絶対だ。逆らうなら力尽くでも連れていくまでだ」
刹那の手刀が琥空の首を捉える。琥空はそのまま倒れて動かなくなってしまった。
——————————トルニス——————————
—ピッピッピッピッ—
規則正しい機械音がし目を開けると琥空は医務室のベットの上だった。
身体に刺さっているチューブが様々な機械が繋がっている。
日差しが入りこんでいるのを見ると、すでに半日は経過しているらしい。
「そうか、俺・・・。くそ!恨むぞ〜〜、刹那の奴」
「気分はどうですか?琥空さん」
室内に入ってきたのは統帥だった。いつも通り柔らかい笑顔を浮かべている。
「良くないな。刹那にやられた所が痛む」
「はははっ。彼女は少し乱暴なところもありますからね。でもそれ以上に優しいですよ、彼女は。
あなたを連れてきたときの彼女の顔は本当に心配そうでしたし、あなたのことをよろしくお願いします
とも言っていました。彼女のことを分かってやってください」
「・・・・で、俺の身体の様子はどうなんだ?」
返す言葉がなかった琥空は、本題に入ろうとした。統帥は少し表情を曇らすと口を開いた。
「正直に申し上げますと、あなたの身体がアマガミ化し始めています」
「アマガミ・・・化?」
「・・・はい。あなたに埋め込まれているコアがあなたを浸食し始めているのです。
このまま行けばあなたはそのコアによって全身を蝕まれ、いずれアマガミへと変貌してしまうでしょう」
統帥により突然告げられた事実に、言葉を失う琥空。
「ですが安心してください。我々はあなたをアマガミにさせないように全力で取り組んでいます。
今まで調べた結果からも、アマガミ化を防ぐ事は可能だと出ています」
「・・・安心できるかわかんねーけど、やっぱり俺の中の封器と関係してんのか?」
「はい、おそらく。封器の力の大元はコアからの力ですから。あなたの中の力が目覚めれば
コアの力も強まっていき、浸食スピードが速まるのではと推測しています」
「もし俺がアマガミになっちまうとしたら、俺に残された猶予は?」
「遅くても3カ月以内には・・・・」
「・・・・・・そっか」
その日の夜、琥空は医務室から姿を消し、それから消息を絶った。