コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 20話更新 ( No.61 )
- 日時: 2010/10/28 18:35
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
——————————???——————————
「ふぅ〜〜」
琥空は仮面を外し、大きく息を吐く。
「アマガミ化の暴走・・・。もう少し改善を加えた方が良さそうだな」
「どうだ調子は?」
するとそこに同じような仮面を付けた男性が現れる。
「まずまずだな」
「そうか。だが、あまりもたもたもするなよ。
あいつらを使えるのは信用されているお前だけだ。精々あいつらを上手く操ってくれよ。」
「あんたの指図は受けない。俺は俺のやり方でやる」
琥空は再び仮面を付けると男に背を向けて歩き出す。暫くして振り向く。
『それと、あいつらを道具のような言い方をするのはやめろ。いくらあんたでも次言ったら容赦しねーぜ?』
「ふっ、済まないな。肝に命じておくよ」
——————————トルニス——————————
「そうですか。琥空さんが・・・」
トルニスに戻った二人が今日あった出来事を統帥に伝えた。
「はい。どうやら彼は新たに自分の組織を創ったようです。彼に従っていた部下の様な者たちもいました。
彼らはアマガミ自体の力を利用してアマガミを倒しているようです」
統帥は暫く考えた後、刹那に一枚のファイルを渡した。
「・・・・その部下の者の中にこのような顔をした人はいませんでしたか?」
刹那はそのファイルにある、人物の顔と名前を見ていく。
ある程度ページをめくっていくと、刹那の手が止まる。
「この顔・・・。この顔は確かに琥空の部下の中にいました。・・・統帥、このファイルは?」
「・・・ここ数か月の間に次々に行方不明者が現れているんです。それはそのリストです。
人物同士に関連性はなく、本当にただ人攫いにあったように・・・・」
刹那が暫く考えた後、目を丸くして呟いた。
「まさか、琥空が・・・!?」
「まさか!!琥空さんがそんな事を・・・」
「私たちはこの半年、彼を知らない。それにさっきあった時の琥空が、以前と同じ彼と思えたか?」
「それは・・・・」
鈴華の口が籠る。それは鈴華も感じていたところだったからだ。
「・・・とりあえず、その琥空さんが始めたと言う組織については他の者に調べさせる事にします。
あなたたちは今まで通り、あの学校の調査を続けて下さい。
・・・もし何か分かりましたら、優先的にあなたたちにも伝えます」
「ありがとうございます」
——————————次の日——————————
「ええ〜〜〜。突然だが、転入生だ。入ってきたまえ」
—ガラッ!—
「・・・・!!あいつは!!」
教室のドアが開かれ入ってきたのは、一般で言うクールさを漂わす美少年。
ただ、鈴華と刹那は別なものを漂わす彼を凝視する。
「天童 湊(てんどう みなと)。しばらく、この学校にお世話になるんでよろしく」
「じゃあ・・そうだな。湊、あの席に座れ」
先生が指さしたのは嘗て琥空が座っていた席。湊がその席まで行くと、
ずっと睨んでる刹那を見て細く笑った。
「話したい事があるなら放課後、屋上でどう?」
——————————屋上——————————
放課後、屋上にやってきた刹那と鈴華、そして湊。
「と、何から聞きたい?」
「・・・お前はここ数カ月続く行方不明者の中に乗っていた顔だな?」
「行方不明・・・ああ、世間ではそうなってんだっけね」
湊が少し不敵に笑う。刹那はそんな態度に少し腹を立て、湊を睨む。
「そう怖い顔するなよ。ちゃんと全部話してやる。まず俺がこの学校に来た理由は
抜けた穴を塞ぐため。・・・琥空のな」
「・・・!!やはり、行方不明者と琥空の創った組織は関わりがあるのか」
「そう言う事。けど先に行っとくぜ。俺らは別に琥空に洗脳や呪いで操られて、こんなことやってるわけじゃない。
各々理由は違うが大元は皆『今の日常に耐えられない』ってこと。
苛めにしろ、ただの退屈にしろ、そう言った連中を琥空は集めて、異常の暮らしを与えた」
湊は語る。自分は今の日常に飽き飽きして暮らしていたと。学校行って飯食って寝る。
その無限ループに飽き飽きしていたと。そこに現れたのが琥空。
琥空は仲間を集めていると言った。初めは信じられない話だったが、琥空の力を見せてもらって、
自分もこんな力が手に入る事が出来ると聞き、琥空に着いて行ったと。
「その力がアマガミ化の力か?」
「そ。アマガミのコアってのをあえて覚醒させて・・・・まぁ、いうなればアマガミとの融合だな。
結構命がけで、中には逃げ出す奴もいたな。日常に戻りたいって。
琥空はそんな連中には普通に戻してやった。ちゃんとアマガミのコアと記憶を消してな。
本当。琥空って良い奴なのか悪い奴なのか、優しい奴なのか酷い奴なのかわかんねーよな。
・・・と、話がそれたな。・・で、俺は琥空の頼みで琥空の代りに、あんたちの手伝いをしに来たってわけ」
「琥空の頼みで、だと?」
「そ、なんでもこの学校の仕組みを調査するためにあんたたちこの学校に潜入してるんだろ?
その調査を俺も手伝うって言ってんの」
親指を立て言う湊。
「なんで、琥空さん・・・そんなことを・・・」
鈴華の呟きに湊がそりゃあ・・と、続ける。
「琥空は別にあんたたちの事は忘れてないってこと。昨日楽しそうに話してたぜ。
久しぶりにあいつらにあったけど、変わってなくて安心したって。
この学校についても、お二人に対しても心配だから手伝ってやってくれって。
頼まれたこっちはいい迷惑だけど、あいつには恩があるしな。
少しぐらいの我が儘ぐらい聞いてやらないとな」
鈴華は刹那の顔を見る。刹那は目を瞑っていて何か考えている。だが、暫くすると目を開け。
「こちらに侵入して、情報を盗もうとしているわけではあるまいな」
「刹那さん!!」
刹那なら、相手が嘘を言ってるかどうかぐらいは分かる。この相手が本当のことを言っているのは
鈴華でも分かるのに刹那は反抗的な目を向ける。
湊は少し呆けたがすぐに笑いがこみ上げて笑ってしまった。
「なるほど、琥空が言ってた通りの人物だな。気に入った。
安心しろよ。逆にこっちの情報をそっちに渡してくれって言われてる程だ。
それに、あんたの知ってる琥空はそんな小賢しい真似する奴か?」
「今のあいつを私は知らない」
「なら、少しずつ知ってけばいい。今のあいつを。たぶん、何も変わっちゃいないと思うけどね」
そこまで話すと、刹那の目から疑念の色が消えた。
「・・・わかった。ならば、そうすることにしよう。よろしく頼むぞ湊」
「任せとけって」