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- Re: 封魔士軍団—アボロナ— 21話更新 ( No.62 )
- 日時: 2010/11/09 18:40
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
22話
次の日からすでに湊はクラスの生徒と打ち解けていた。
美少年だけあって、女子の人気は高い。
その日放課後も3人は昨日と同じように屋上に集まっていた。
「学校に飽きていたと言う割には随分と楽しんでいるようだな?」
刹那の言葉に湊は肩を竦めて言った。
「ま、学校が変われば俺を包む雰囲気も変わる。今はそれを楽しんでいるだけだ。
・・・それにしてもこの学校・・あんたたち封魔士と何か繋がってんのか?」
「??どういう意味だ??」
湊の言葉を不思議に思い、刹那が尋ねた。
「いや、何か呪い臭いなぁって思ってよ」
「呪い・・・?君はその類の力に鼻が利くのか?」
「まあな。俺は五感に加えてそういった第六感も鋭いんだ」
刹那は唇に手をやり考えるがそんな話は聞いた事もないし、
もしそうだとしたら、わざわざ統帥がここの調査をさせるような事はしないはずだ。
「その様な事はないはずだ。だが、呪い臭いのであればその臭いの元があるはずだ。
その場所が分かるか湊?」
「いや。特に強い場所もなさそうだし、学校全体から臭いが放たれてるって感じだな」
「・・・呪いの基本としては、幾つかのポイントに軸となる力を植え付けて発動させるものです。
・・・もしかしたら、そのポイントって・・・」
鈴華の言葉に刹那が呟いた。
「七不思議か。考えれば確かに琥空から教えてもらった場所からすると、
七不思議の場所は丁度この学校全体に行き渡る様に配置されているな」
「けど、一体何の呪い何でしょう?」
「さあな。そっちは専門外だ。そっちに詳しい仲間がいるから今度連れてくるか?」
湊の申し出に対して刹那は首を横に振ると言った。
「いや。これはあくまでもこちら側の問題だ。これ以上そちらに手を患われるつもりはない」
「そ。じゃあその七不思議の場所に行ってみようぜ」
この時はまだ分かっていなかった。その呪いの意味を。
そして、裏で誰が何を考えているのかを。
——————————体育館——————————
—ギシィ・・・ギシ!ギシィ—
「これが七不思議の一つか。確かに誰もいないのに音がするな」
湊が気だるそうに欠伸をする。
「で、そのアマガミはどこにいるんだ?」
「アマガミの気配はそこら中からしている。・・だが妙な感じだな」
「そうですね。まるで・・・」
鈴華の言葉がそこで途切れた。不意に床を見るとまるで生き物のようにうねっていたのだ。
「刹那さん!これは・・・!!」
その瞬間、床が大きく波を打ち始めた。
「ああ!今まさに私たちは、アマガミの腹の中にいる状態だろう!!」
床は大きく形を変えて、蛇のようになると3人に向かって行く。
「風華の舞!!」
向かってくる床の蛇を切り刻む鈴華。だが蛇はすぐに再生してしまった。
「高速再生か・・・。厄介だな。この手の敵は直接相手はせずに
コアを直接潰すのが定石だが、こうでかいと一苦労だな」
蛇を切り捨てながら刹那が言う。すでに周りは変化した床の蛇で埋もれていた。
だがそれだけではなかった。器具室の扉が開くと、そこからバスケットボールやら
何やらが沢山飛んできて、3人を襲った。
「おっと!!へへっ・・」
湊は向かってくる蛇を交わしながら笑った。
「やっぱ、こういうスリルが一番堪んねえなぁ!!」
「・・・違うアマガミの気配?いや、これは!?」
「おらおらおら!!」
見ると湊が蛇を素手で切り裂いていた。その湊の今黒く、強いアマガミの気配を放っている。
「狼爪閃河!!(ろうそうせんが)」
湊が手を交差させ、そこから手を思いっきり広げると、
無数の刃状の黄色い閃光が飛んだ。それにより蛇がコマ切れになる。
「へっ、どうだ」
「そんなことやっても無駄だ。いくらやっても再生・・・・」
刹那の言葉が不意に止まる。湊が斬った蛇は再生はせず、そのまま朽ちていったからだ。
「俺の爪には物質を破壊する猛毒が含まれてるんだ。
いくら高速再生しようが、それ以上の破壊を続ければいいだけだろ。
周りの邪魔者は俺に任せろよ!お二人はコアを取ってきな!!」
「お願いします!!湊さん!!刹那さん、行きましょう」
「ああ、そうだな」
二人はこの場を湊に任せ、コアの捜索にあたった。
——————————?????——————————
「どういうつもりだ琥空?」
「何がだ?」
以前と同じように仮面の男と琥空は話をしていた。
「なぜわざわざ封魔士を手助けするような真似をしているのかと言っているんだ。
しかも、送ったのは従えている中でも一番の使い手だろう?」
「湊を送ったのは俺が抜けた穴を十分に塞いでくれる。そう思っただけだ。
そんなに驚くことか?」
男は少し黙った後言った。
「封魔士は私たちにとって邪魔者だ」
「そうだな。だが、邪魔なのは封魔士軍団であって、そこに所属している封魔士は関係ない。
頭を潰せば手足は無意味だ」
「甘いな。あの手合は頭を潰しても生き続け、すぐに新たな頭に従える。
忘れるな。私たちは正義の味方になってるわけじゃない。
まあいいさ。綺麗事はお前たちで片づけろ。汚い事は私たちがやる。
・・・元々、私たちは悪役を演じてきたのだしな」
「・・・一体何を考えているだ?」
琥空が投げやり気にそう言うと、男は鼻で笑った後返した。
「勿論、この世界の平和だ」