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Re: 彼と私と弟 ( No.20 )
日時: 2010/03/29 20:07
名前: 実姫 (ID: MQ1NqBYl)

第11話
—変化—

私に対しての態度が変わり始めたのは久しぶりに一緒に帰った日の翌日からだった。
学校ではめったに話してくれない優平がたくさん話してくれるようになった。

「実咲。」
昼休み、優平はいつも話なんかしないのに話しかけてきた。
「何?どうかしたの?」
私は少し冷たく返事をした。あんまりこんな風に学校で話をした事は無かったから・・・。
「実咲、何かあった?顔色悪いよ?」
優平はそう言って私の頬にそっと手を乗せた。
「平気だよ・・・。」
私はそう言って優平の手を外した。
「そう・・・か・・。」
ごめんね優平・・・
嬉しいのに・・・こんな態度とって・・・。

「実咲、少し今日の夜時間あるか?電話したい。」
「私からかけるよ。親いるから・・・。」
私は優平に「8時に電話するから」と言い図書室へ向かった。
私が一番落ち着く場所。
そして一番悲しくなくてすむ場所。
寂しさを本が消してくれる。
悲しさを忘れて御伽の世界に入り込む事が出来る。

でも・・・今は悲しさも寂しさも消えないよ・・・。
どうして?
私の目から温かいものが流れ落ちた。
止まらない・・・止まらない・・・
「ふぇ・・・うぅ・・・ふっ・・うぐ・・・」
私は声を押し殺して誰もいない図書室の隅で蹲った。
優平が近くまで来ていたから・・・
ばれないように・・・
泣いている私の顔を見られぬように・・・。

私は優平の前ではいつも笑っていた。
寂しさや弱みを見せないように。
心配をかけないように・・・
でも今ぐらいは貴方の前で泣かせて・・・。