コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼と私と弟 ( No.21 )
- 日時: 2010/03/30 19:23
- 名前: 実姫 (ID: MQ1NqBYl)
第12話
—泣き顔—
優平SIDE
学校で初めて実咲に話しかけたかもしれない。
実咲の態度が少しおかしかったのはそのせいかもしれない。
実咲が図書室へ向かったようだったから俺も実咲の後を追って少し時間をおいて図書室へ行った。
いつも誰もいなくて少し気味の悪い図書室。
本の種類は多いのだが管理が悪いらしくところどころ文字がかすれていて読みにくい。
実咲は何故読めるんだろう・・・
そんな事を思いながら図書室の中を覗くと誰かのすすり泣く声が聞こえた。
「ふぇ・・・うぅ・・・ふっ・・・うぇ・・・」
実咲の声だ・・・。
何故泣いているんだろう・・・・
ここで出ていって抱きしめてやりたい。
この腕の中で泣いてもらいたい。
いつも俺の前では笑顔でいる実咲。
寂しいはずなのに悲しいはずなのに・・・
無理してまで俺の前で笑顔をつくってるんだ。
ガラガラ・・・
「・・・誰?」
実咲はドアが開く音が聞こえると同時にいつもの声に戻った。
「俺。」
実咲に言うと、実咲は笑顔で、
「な〜んだ。優平か〜。いつも誰も来ないからスト—カーの人かと思った。」
実咲はさっきまでの泣き顔が嘘の用かに綺麗な笑顔で立っていた。
「実咲・・・。」
俺は実咲の所まで歩いて行き抱きしめた。
「優平?どうしたの?」
俺は実咲の問いに答えずただ実咲を抱きしめていた。
「実咲・・・ごめん。泣かせて・・・ごめん。」
「!!!!」
実咲は俺の謝罪の言葉にびっくりしたらしく、体が『ビクンッ』と跳ね上がった。
「泣いてなんか・・・」
「嘘つけ。目が真っ赤なんだよ。泣け。ここで・・・。」
俺は実咲の目を指でそっとなぞってから実咲の頭を『ポンっポンっ』と軽く叩いた。
「うぅ・・・。ふぇ・・・。」
実咲の目はすぐに涙でいっぱいになった。
(やべぇ・・・かわいい・・・)
俺はそんな実咲をみてそう思った。
「優平・・・あ・・のね・・・。」
「うん・・・。」
「ほ・・・んとは・・ね。嫌・・・なの・・・。」
「うん」
「ゆう・・・へいのね・・・そばにい・・たいの・・・」
「うん。」
「だから・・・大樹の・・・かの・・じょは・・・形・・だけでもやだよ・・・」
「うん。ごめん。」
俺は実咲の言葉をしっかり聞いて今までよりさらに強く抱きしめた。
実咲は痛がらないように少し力は抜いておいた。
この間は「痛い」って言われちまったもんな。
実咲は俺の胸に顔をうずめて泣いていた。
(これからは俺が守るから・・・泣かせないから・・・。)
俺はそう誓った。