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番外編「不良少女Erina」



　あーやっと帰れる……。
　なんか今日、1日すっげえ長かった気が。
　まあいいや、今日はもう帰ろう。
　……見ての通り、あたしは
　帰るときは、いつも1人だ。


　美緒はバレー部があるし。
　他の帰宅部のやつらは
　全員嫌いだし。


　「おーい、絵里那！」


　廊下を歩いてると、背後からけたたましい声がした。
　あたしは眉をひそめて、振り向く。
　……森野だった。
　ってかこんなとこみて、藤山はおこんないの？


　「何？」
　「あのさ、一緒に帰っていいか？」
　「……はぃ？」


　一緒に帰るって……。
　何が悲しくて、こいつと
　帰らなくちゃいけないの？
　そりゃ、タイプだけどさすがに
　2人っきりとか、引くわー。
　

　「……おかめ納豆は一緒じゃないの？」
　「おう、美里奈はもうすぐくる」


　おかめ納豆で、美里奈と通じたのには
　あたしも理由がわかった。
　香織たちが、森野の前で美里奈のことを
　「おかめ納豆」と呼んでるからだ。

　「……ってか、おかめと帰れよ」
　「いやあ、ちょっと話があってさ……」


　そのとき、おかめ……藤山の声がした。
　きゃぴきゃぴして、異常に五月蠅い。
　あたしは軽く舌打ちする。


　「森野ぉ〜っ！　……あれぇ？　なんで絵里那がいるのぉ？」

　美里奈は、顔を険しくさせてあたしをみた。
　あたしは思いっきり、美里奈を睨む。
　

　「ああ、ちょっと用があるから」
　「えぇ〜絵里那も一緒なんだあ〜」


　なんだよ、絵里那絵里那うるさい！！



　「気安く絵里那って呼ばないでくれる？」
　「ごめぇ〜ん」


　あぁきもい、なんで美里奈と帰るの！？
　なんかいやだなあ……。


　「ねえ、早く用件いってよ」
　「ああ……お前、望と付き合ってるんだろ？」





　……は？　その話？
　なにそれいみわかんない。
　どっからそんな話きいたの？



　「は？　ばっかじゃないの、そんなわけないじゃん」
　「……そっか、でも一緒に弁当……」


　ちっ、こいつもこざかしいな。



　「だから違うって！」
　「ほんとに〜？」

　次は、美里奈が問いかけてきた。
　こいつに話しかけられると
　必要以上に腹が立つ。



　「本当だよ、おかめ納豆平安美人」
　「へ、平安美人！？」


　美里奈は嬉しそうな、驚いたような顔をした。
　ばっかじゃね、平安美人ってことは
　現代のブスってことだよ。


　「あんたが過去に怜緒と付き合ってたことが、ふしぎで仕方ない」


　あたしは、ぐちぐちと嫌味をいいはじめた。
　美里奈は嫌気がさしたのか、暗い表情になる。


　「じゃあね、現代のブスとその彼氏。いつまでもお幸せに、バカップル」



　あたしはそれだけいうと、走って帰った。







　　　　あたしが、望なんかと付き合うわけないでしょ？