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Re:  ・Cherry・ —恋する理由— ( No.924 )
日時: 2010/05/08 13:00
名前: 香織 ◆H9YqiiQtJw (ID: NOphWmYz)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/




第52話


 「はぁ……」
 「おはよー! ……うわ、香織テンション低!」
 「なんか変なんだけどー」


 朝、絵磨と萌に挨拶された私は、すっごくテンションが低かった。
 それもそのはず……だってね。
 優 志 が 諦 め れ な い ん だ も ん !!


 「……香織大丈夫?」
 「うん、なんとか」
 「まじテンション低いよー」


 低い、今日の私は異様にテンションが低い。本当に低い。
 はぁ……私はまたため息をついて、教室の窓から外を眺めた。


 ——あれは、体育の時間だった。




 「沙理衣ー!」
 
 クラスメイトの守川栞が、栞の友達である、寺田沙理衣の名前を呼んだ。
 沙理衣は、驚いた表情で振り向く。今は50m走を測ってる時間で、充分に話す時間はあった。
 私は、思わず2人の会話を聞き入ってしまった。


 「何、栞」
 「あのさー……沙理衣って好きな人いる?」

 沙理衣ちゃんの好きな人!? おおなんかききたい気分かも。
 私は、せっかく話しかけてくれる絵磨と萌の話をそっちのけで、沙理衣と栞の話に夢中になった。


 「うん、いるよ!」
 「誰?」




  


     「三井優志!」



 え……今なんといいましたか!? 沙理衣ちゃん!
 優志っていいましたよね、絶対言ったよね、そうだよね、あっひょっひょ。
 私の心拍数は、いっきにあがっていった。

 「え、あの元4組の人だよね? 背が高くて、眉毛太くね?」
 「そうそう、かっこよくなぁ〜い!?」


 ちょ、栞ちゃん……眉毛太いって……まあ確かにそうかもしれないけどねぇ。
 私はさらに、話をきくことにした。

 「あの髪の毛ボサボサで、走りめっちゃ速い人だよね?」
 「うん!」
 「……でもあの人、出っ歯じゃない?」


 出っ歯! 栞ちゃん、君よく優志みてるねえ……。2人と、優志は違う学校のはずだったけど。
 栞ちゃんなんか、去年も違うクラスだったんだけど。
 女子の間で、そんなに優志って有名なのかなあ……?

 「うん、そうだよ」
 「えぇー、あいつきもーいうちむり!」


 うんうん、きもいよね、無理だよね! 出っ歯だし、へんな人だし。
 ……ってなに私は、栞ちゃんに同意してるんだ、私は頭がおかしいんじゃないか。
 すると、沙理衣はちょっと不機嫌な顔になった。

 「とりあえずかっこいいの!」
 「はいはいはい」


 …………。




    もうどうでもいいはずなのにね。


 まだ優志のことすきみたい。



  諦めなくちゃ、いけないのにね?



 ばっかみたい……。



 「ちょ、香織聞いた!? 今の、寺田さん……」

 絵磨は目を見開いて、私のほうをまじまじとみた。
 続いて、萌が続ける。


 「寺田さんも、三井君すきなんだね……」
 「うんそうだね『も』じゃなくて、『は』だよ」
 「えー? なんで……」



 もうすきじゃないすきじゃないすきじゃない!



  諦めるんだ、あの人は!!




 ——帰り道。


 私はふと、前を歩いている小学校低学年の男の子と女の子をみた。
 笑顔で楽しそうに、歩いている。ランドセルに、黄色いカバーつけてるから、1年生かな。


 懐かしいな、あの頃に戻りたいよ。




   ……ねえ。