コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ・Cherry・ —恋する理由— ( No.930 )
- 日時: 2010/05/08 15:21
- 名前: 香織 ◆H9YqiiQtJw (ID: NOphWmYz)
- 参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/
第53話
あれは、2002年の秋も深まった頃だった。紅葉がとても綺麗な、朝のこと。
私は、新しい街に引っ越してきて、今日から新しい幼稚園にいくことになったのだ。
すごく緊張してるし、友達できるかなぁとか、先生は優しいかなぁとか……。
正直いって、前の幼稚園のほうがよかったかも。
「香織ちゃん、こっちこっち」
幼稚園へつくと、先生が出迎えてくれた。若くて綺麗な、女の先生……。
どきんどきんどきん、どんな子がいるんだろう!
すごく緊張するよ……。
私は、もう心臓が飛び出そうな勢いで、教室のドアを開けた。
その瞬間、教室で遊んでた子たちの視線が、一気に私のほうに移された。
わ……なんかみてるよ、そんなにみないでよ!!
「はぁい皆座ってー新しいお友達紹介するよー」
「はぁい」
皆は、おもちゃを片付けると、自分の席に座って、真ん中に立っている私を見た。
まじまじとみつめられても、困るんだけどなあ……。
「じゃあ、お名前いってくれるかな」
「あっ……七瀬香織」
とりあえず、自分の名前だけいってみた。かき消されそうな声で、かすかな声で。
皆に聞こえたかはわからない、でも近くの子は「香織ちゃんかあ」と呟いてくれた。
「じゃあ香織ちゃん、あそこに座ってくれる?」
「はぁい」
私はやっぱりドキドキしながら、先生に言われた席にすわった。
隣は男の子ばっかりで、正直いって残念……。
女の子がよかったなあ……そのときだった。
隣の隣の隣に座っている男の子が、私をじ〜っとみてきた。
「……?」
「……よっ」
「よっ……よっ?」
見知らぬ男の子は、笑顔で私に手をふってくる。
なんで手なんかふるの? 知らない子なのに……変なの。
私は、そのままその子を無視していると、突然耳元で騒がれた。
「おい! 七瀬香織!」
「……ふっふぁぇぃっ?」
びっくりした……なんなのもう!
私はちょっと怒り気味になって、その子の顔をみつめた。
その男の子は、やっぱり笑顔で私を見てくる。
「……何? さっきから」
「別にー! お前なんかみたことあるなって」
「え?」
みたことある……? こんな子みたっけ?
……う〜ん……たしか、私は1週間前に、この場所に引っ越してきて、皆に挨拶して……あ。
「あ、もしかしてあのときの?」
「そう! 三井優志!」
三井優志……あああ、優志君か。唯一、同じ年の子がいてすっごく、ホッとしたんだっけ。
優志君は、私より1週間ほど早く、この場所に引っ越してきて下に2人の弟がいる。
そして私も、弟が2人いた。なんか一緒のとこがいっぱいあって、嬉しい。
「優志君、ひさしぶりー」
「おっす! 孝文がまた龍夜君と遊びたがってたぞ」
「えー」
これが私達の出会いでした。