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Re:  ・Cherry・ —恋する理由— ( No.951 )
日時: 2010/05/10 18:21
名前: 香織 ◆H9YqiiQtJw (ID: NOphWmYz)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/




第54話



 「あっつー」


 小3の夏、私は帰り道汗だくになりながら、1人でぶつぶついって帰宅していた。
 あ〜……もう、夏休みまであと1週間もあるよ!
 ……めんどくさいなあ、もういやだあ……。
 そのとき、背後から元気よく、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


 「香織ーっ!」
 「何あんた元気すぎ、優志」
 「いいじゃん」


 優志はちょっとだけ不機嫌な顔になった。こいつ、冬でも薄着で遊んだりするからなあ……。
 私は汗をハンカチで吹きながら、優志が口を開くのを待っていた。


 「あのさ、今日遊ぼうぜ!」
 「いいよ」
 「公園は暑いから、お前の家な、じゃっ」


 こうして私と優志は、週に何度か一緒に遊んでいた。2人っきりもつまんないので、孝文・龍夜・康義・辰雅も誘って。
 でも女子1人なのも、私はなんとなく嫌なので、近所の友達の、志筑と姫香も誘っている。


 家に帰って、ランドセルを放り投げると、すぐに冷蔵庫へ向かった。
 冷たい、美味しいジュースをコップに注いで、それを口の中に運ぶ。

 ——きもちいい。


 生き返ったような気分になった。
 そのあと、部屋のクーラーのリモコンで、クーラーをつける。……もうすぐしたら、涼しい風がくるはずだ。
 私は、暑いソファにすわってボーッとしていると、家のチャイムが鳴る音がした。

 それと同時に、私は玄関まで走ってドアをあける。
 案の定、いつものメンバーが揃っていた。

 「入るぞー」
 「うん」



 え? こんな大人数でなにするかって? 
 ん〜……実は、あんまりはっきりと決まってなかったりして。
 男の子は、ゲームで遊んだりするけど、私達女子組は、たま○っち……かな?


 「香織ちゃーん、ウチのたま○っち、成長したよ」
 「うそっ、まじでっ!?」


 志筑が、自分のたま○っちをみせてきて、そういった。
 私も自分の奴をだして、確認する。……すると。


 「あ、私のも……成長するううう! 今まさにその瞬間!」
 「えっ!?」

 
 志筑も姫香も、私に顔をよせて、たま○っちの画面に釘付けになった。


 「もうすぐ成長するよー」
 「もうすぐ成長するよー」


 私より少しだけ低い声で、私と同じことをいった声がした。ソファのほうを向く。
 優志が悪戯っぽい表情を浮かべて、こちらをみていた。
 ……まあいいや、無視しよう。
 私は再び、たま○っちの画面に釘付けになる。


 「ほらぁ、成長したぁっ」
 「ほらぁ、成長したぁっ」


 ……なんなんだよ、こいつは。嫌味ばっかいってきて、うぜえええええええ!!
 私はついに、優志をにらみつけた。


 「なんだよ」
 「なんだもくそもねえよ、真似すんな」
 「まねすんな」


 ……イラッ☆
 こいつ、まじむかつくわ、なんなのこいつ。すると優志は、そんなことお構い無しに口を開いた。


 「なあそんなんで遊ばんと、ポ○モンしようぜ」
 「はぁ?」

 優志はもう、ゲームをして遊んでいる。孝文たちと通信でもしてんだろうね。
 私はむかつくので、そのまま無視をして、姫香にはなしかけた。


 「姫香ーたま○っち通信し——」
 「お前ぶっ飛ばす、今度こそ絶対勝つんだからな、俺が!」

 

 私の声は、優志の暑苦しい声によってかきけされた。思わず舌打ちをする。
 ……普段学校ではみせない、私の本性。ふっふっふっふっふ……。


 「ポ○モン弱いくせにばぁか」
 「前勝ったじゃん、超余裕だったんすけど」
 「あれはまぐれだ! ……なんだよ、根暗女」


 ね、根暗女ですと……!?
 よくもいいやがったな、このアホ男!!
 ああそうだよ、学校では根暗ですよ、ほっとんど喋りませんよ。だから、同い年の女の友達いませんよ。
 しかも嫌われてますよ、暗いから。
 だからなんなの……?


 もう、キレた!!


 「……姫香、志筑、2階いこ! ……こんなキモ男といたら、虫唾が走る」
 「うんいこいこー」
 「優志君も酷いよねぇ」


 私は、くるりと振り向いた。優志の表情は、かなり不機嫌な様子だった。
 ざまあみろ、ばぁかばぁかばぁか!