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Re:  ・Cherry・ —恋する理由— ( No.980 )
日時: 2010/05/11 20:07
名前: 香織 ◆H9YqiiQtJw (ID: NOphWmYz)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/



第55話



 小4。
 ついにクラス替え、私のクラスは4年3組となった。先生は3年生と同じ。
 クラスのメンバーは……うわ、馴染めなさそう。なんか、皆グループつくってるというか。
 はぁ……こんなクラス、いやだなあ。優志もいない。
 まあ別にアイツはいなくていいや、同じクラスだったら、また嫌味をいってくるだろうしね。
 そう思いながら、窓を眺めていたときだった。


 「……香織ちゃん?」



 背後から、優しそうなそれでいて、耳にきちんと残るはっきりした声がした。
 私は吃驚して、振り向く……あ!


 「……亜由奈ちゃん?」
 「やっぱ香織ちゃんだあ、覚えてる? 二葉亜由奈だよ」


 二葉亜由奈……小2の時、同じクラスになって、少し仲良くしていた。何故か気があった。
 亜由奈ちゃんも同じクラス、なんだかすっごくうれしい。


 「覚えてるよーひさしぶり!!」
 「あはは。……私ね、このクラスに友達いなくて。よかったら、これから一緒にいない?」
 「いいよ!!」


 よかった、亜由奈がいて。すごく嬉しかった。クラスに馴染めるかはわかんないけど、友達ができてよかった。


**


 小4になって、早3ヶ月経過。もう梅雨もあけて、夏休みがやってこようとしていた。
 私の心は、うきうき気分でたまらなかったし、学校なんか早く終わればいいとおもった。
 ——音楽の終わりの時間、悲劇はおこった。




 「香織ー帰ろうよ」


 音楽室のドアから、先に教室をでた、亜由奈が顔を覗かせる。
 私は楽譜や、リコーダーを直して急いでいた。
 ……よし!! 準備完了、そろそろいくか。……そのときだった。
 ドンッという鈍い音がして、腕に衝撃がはしった。ぶつかったらしい。


 「気をつけろよお前」


 低いのか高いのか、その中間の声で怒鳴ってきた。私は恐る恐る、怒鳴った人の顔を見る。
 ——高井浩之。
 私がもっとも苦手としている男子、なんかこわいしさ……。


 「謝れや! 痛いねん!!」
 「……ご、ごめん」



 高井の鋭い目つきが怖くて、私は思わず下をむいて呟いた。
 すると、高井は舌打ちして教室をでていった。あとから、私も教室をでた。



 「香織大丈夫?」
 「う、うん……」
 「そっかよかった、あのさー音楽の授業のさー」


 亜由奈が話をはじめる。でも私は、全く話がはいってこなかった。
 ……怖い、今でも心臓がどきどきして飛び出しそう……なんか泣きそうだし。
 私は思わず胸を強く抑え、唇を噛み締めた。


 「——なんだけど、香織は?」
 「…………」
 「香織!?」


 亜由奈が、私の顔の前で手を振って、はじめて私は我に返った。


 「あ、な、なに?」
 「大丈夫ー? テンション低いよ」
 「あ、だいじょうぶ!」



 大丈夫なのかな……本当に。なんかすごいショック。




 

 教室に帰ると、もうほとんどの人は教室にいて、休憩をしていた。
 私も自分の席に座って、次の時間割を確かめる。……次は……えと。
 そのとき、誰かが私の肩を軽く叩いてきた。私は思わず「ん?」と声を漏らす。


 「七瀬さーん、なんか三井君が呼んでるよ」
 「……えっ、えっ!?」


 私は、驚いて思わず目を見開いた。私に話しかけてきたのは、同じクラスの三上さん。
 三上さんとは、1年の頃に同じクラスで、ほとんど喋ったこともないんだけどね。


 それにしても、アイツが私に何のよう……?
 私は少し緊張しながら、教室の出入り口まで小走りでいった。
 優志は、私を見下したような視線でみてくる。無理もないかな。
 優志はもう私よりずっと大きい。昔はほとんど身長差なんてなかったのに。


 「何?」
 「はい」


 優志は、ぶっきらぼうに私に1枚の白い紙を押し付けると、教室に戻っていった。
 ……? なにこれ、なんか白い紙なんかもらったけど、意味わかんない。
 そのとき、背後から声がした。


 「何それラブレター?」
 「みっ、三上さ……」
 「教室の隅でみようよ!」

 三上さんは私を引っ張って、教室の隅までつれていった。