コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ・Cherry・ —恋する理由— ( No.981 )
- 日時: 2010/05/11 22:14
- 名前: 香織 ◆H9YqiiQtJw (ID: NOphWmYz)
- 参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/
第56話
「何、どうしたの?」
私と三上さんに気付いた亜由奈が、興味深げに近寄ってきた。私は、二つ折りの紙を開ける。
「 かおりへ
バカ女
ゆうし 」
……はぁ!? この手紙をみた瞬間、私は怒りを覚えた。手が震えて、そのうち全身が震える。
わざわざ手紙でこんなこということ、ないだろおおおおおおっ!!
私は「うぜええ」といいながら、手紙をビリビリにやぶいて、ゴミ箱へすてた。
「ラブレターじゃなかったね」
三上さんは、残念そうな顔で私にそういった。
「別にあんなのから告られなくていいもん!!」
私は、必死で反論した。すると、隣で亜由奈が口を開いた。
「それ愛情の裏返しだよー、すきなんだよ、ツンデレってやつだよー」
「ありえないし! あんなのが私をすきって……おぇ」
私は吐くまねをした。すると、三上さんと亜由奈が、腹をかかえて笑い出した。
……そういえば三上さん……なんで私に話しかけるんだろう?
そんな私の疑問を読み取ったかのように、三上さんは私と亜由奈に、呟いた。
「あ、そうそう、私三上絵磨! ……実はさ、うちこのクラスで友達いなくてさー……
唯一面識のある、七瀬さんと、二葉さんならって思って。絵磨ってよんでね!」
絵磨はそういうと、にっこりと微笑んだ。私も自己紹介する。
「あ、私七瀬香織! よろしくね」
「うち二葉亜由奈ーよろしくっ」
私達がそういうと、絵磨はまたまたにっこりと微笑んで「よろしく」と呟いた。
**
夏休み真っ只中、私達3人は学校がなくても、度々遊んでいた。公園で遊んだり、まあいろいろとね。
「ねえ、香織と亜由奈って好きな人いる?」
突然絵磨が改まってそういってきたので、ちょっと驚いた。私と亜由奈は「え」と声を漏らす。
亜由奈はそのあと、率直に「いない」と答えた。
一方私のほうは、ちょっと悩んでいた。
好きな人なんて今はいない。
初恋は幼稚園の頃だった。同じクラスの男の子が好きだったけど、引越しによってその想いは消える。
それで、引っ越し先の幼稚園で、また好きな男の子が出来た。でもやっぱり、卒園と同時にその想いは消えた。
それから小学生になって、何度か恋をしたことがある。
……でも、でも、今はもう好きな人なんていなかった。
「香織の好きなタイプってさーうちわかるよ」
亜由奈が、悪戯な表情を浮かべて、私を見てそういった。私は違う意味で、ドキッとする。
「ちょっと強引で意地悪で乱暴で、でもって運動神経いい人!!」
……今、今、真っ先に……高井浩之が浮んだのは気のせいだろうか。
ってか私、そんなのタイプじゃないし! 優しくて運動神経がいい人が、いいのになあ……。
でも高井の意外な一面を、私はしらないことはなかった。
「木上ー」
1学期の時、給食の準備時間になった。高井は、木上梨香という、女の子の名前を呼んだ。
木上さんは食器運びで、高井は牛乳を運ぶ係をしていた。
「木上、それもとうか?」
「えっ……いいの? ありがとっ」
木上さんは本当に嬉しそうな顔をしていたし、高井もまた、満足しているようだった。
そういう優しい所もあるんだなー……って感心してしまった。
それに、運動神経もいい。高井はサッカーをやっていて、中学はサッカーの強い私立中を受験するらしい。
将来の夢は、もちろんサッカー選手。まあ、サッカーバカというやつ。
「何香織黙って。もしかして、誰か好きな人が……」
「あー違う違う違う!!」
まさかね、私が好きなわけないじゃん。
もう恋しないってきめてたのに。