コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Multiplex Cross Point オリキャラ募集中 ( No.129 )
- 日時: 2010/05/04 10:14
- 名前: Faker (ID: x2W/Uq33)
「おや、お喋りとは随分と余裕なようで」
「ッ」
反射的だった。
黒雅 誡は、耳元で聞こえた声に反応し、身を捻っていた。
直後、彼は頬に鋭い痛みを感じ、すぐに後へと身を退く。
先程まで自分が立っていた場所を見た時、其処には1人の青年がいた。
紺色の瞳に、黒混じりの青色のショートヘアー。
白いシャツの上から群青色の上着に、黒い長ズボンを履いた青年。
両耳にチェーンに繋がった翡翠色の石のイヤリングを付けた彼を黒雅は知っている。
不敵に笑う、その青年を黒雅は確かに知っている。
「錆螺、唄」
痛みを感じた頬の部分に触れると、赤い液体が付着した。
それを見て、眼前の錆螺 唄は手に持ったナイフを手の中で回し、やはり不敵な笑みを浮かべる。
「どうしました? 普段の君なら避けるのは簡単だったでしょうに」
「何で、お前が其処にいるんだ」
「さぁ?」
「答えろ、唄…」
槍を振り、黒雅は錆螺 唄に、幼馴染みである青年に襲い掛かる。
一直線に、黒雅は槍の鋭利な先端部分を錆螺 唄の肩の部分に放つ。
彼を止める為に、其処にいる理由を問う為に。
しかし、
「私を傷付けますか、誡」
その時、掛け値無しに黒雅の腕は一瞬だけ確かに止まった。
言葉で自分の心が揺さぶられた、それは分かったていたのに。
心は理解しているのに、体は動かなかった。
「残念。─────────遅いですよ」
ズンッ、と腹部に鋭い痛みが走る。
錆螺 唄は、黒雅の手間に立っていた。
その手に持ったナイフを、黒雅の腹に刺して。
「ぐッ…ごふッ…。唄、お前…何で」
「誡。今日は、随分とお喋りですねぇ」
不敵な笑顔を崩さず、それだけ言うと、錆螺 唄は黒雅に刺したナイフを抜いた。
赤い液体の塊を吐き、黒雅は地に倒れ伏す。
何故、と千堂 紀和は体を震わせて呟いていた。
少しの恐怖と、膨大な怒りと共に。
不敵に笑う、仲間だった青年に対して。
「何故だ、錆螺 唄ァァァァァァ!!!」
「さぁ、何でだと思います?」
幼馴染みを刺し、仲間を傷付けて尚、錆螺 唄は笑う。
その直後、千堂 紀和の心は憤怒一色に染められた。
反射的に体は動いていた。
銀色の弓の弦を強く、弾く。
対する錆螺 唄はナイフを手に千堂 紀和に向かって走る。
そして、─────────────交差。
弓を放つのが早かったか、錆螺 唄の一撃が早かったか。
「貴、様…」
「残念ですねぇ。後、少しでしたよ?」
結果は言う間でも無いだろう。
音を立て、千堂 紀和は崩れ去る。