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Re: Multiplex Cross Point オリキャラ募集中 ( No.140 )
日時: 2010/05/05 10:58
名前: Faker (ID: x2W/Uq33)

ポタポタ、と血が地面に落ちる。
カノンは呆然としたまま、それを見ていた。
自分の血では無く、

咄嗟に彼女に立ち塞がり、銃撃を防いだ柚葉 クロトの血を。

「ッ…。危ねーな、テメェ」

傷口は肩。
ジワリと服の布地を赤く赤く染め上げていく。

「…バカ、な…。お前、ゴーレム共は…!?」

偽者は、クロト達がゴーレムと戦っていたはずの場所を見る。
其処には無数の鉄屑が散らばっているだけで、ゴーレムは完全に破壊されていた。
ただ、鉄屑を踏みながらヴァン、秋兎、メルだけが歩いてい来る。
唖然とする偽者を前に、クロトは笑う。

「残念だったな。あの程度じゃ、まだ準備運動だ」

結論から述べれば、偽者は孤立している。
戦力だった【泥人形】は破壊され、実質的な偽者側の戦力は自分だけ。
だが、しかし。


「だから、どうしたと言う…!!」


そう、戦力など些末な問題に過ぎない。
銃口はまだ、カノンに定められたまま。
残るは、引き金を弾くだけだった。

しかし。

「おおおおおおァァァァァァ!!!!」

「させるか」

倒れていた千堂 紀和は引き裂くような叫びを上げ、立ち上がった。
武器である銀閃を地に放り、強く拳を握り、偽者の殴り飛ばす。
深手を負っていた黒雅 誡は、短く言葉を呟くと槍を振る。
狙いは1つ、偽者が持つ凶器である拳銃だ。
拳銃が黒雅の槍に弾かれ、一瞬遅れで千堂 紀和が強く握った拳を偽者の顔面に叩きつける。

「ご…ふ…ッ!!」

偽者は一撃を受けた直後、その場に崩れ去った。
最早、偽者が動く事は無い。
勝敗は、完全に決した。

「ふん。【情報屋】に化けるとは良い度胸だ、このボケめ」

「…これ以上の暴挙は許せない」

「とりあえず、勝利、かな? って、クロトくん、怪我したでしょ、結月さんに見せなさーい」

「肩が痛ぇわ、これは。格好付けたけど、もうちょっと良い方法はあったかもね」

苦笑しつつ、傷口を抑えるクロト。
彼は結月に治療をしてもらおうと、傷口を見せようとした時だった。
ふと、何気なくカノンの方を見て、そんな考えは完全に吹っ飛んだ。
それよりも優先するような事が、カノンに起きていたから。

「…カ、ノン?」

「…ぁ」

震える体。
何かの発作のようにカノンは頭を抱え、震えている。

「…あ、ぁ」

「カノンッ!!」

「おい、どうした小娘!?」

「カノンちゃん…? ねぇ、どうしたの!?」

「…何が」

一同の呼び掛けは届かない。
異変に気が付いたヴァン、秋兎、メルはこちらに走って来る。
直後、カノンの中で何かが砕け散った。

「…あ、ぁぁぁ…。うああああああァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

絶叫。
一同の呼び掛けを打ち消すような絶叫が響いた。