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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Multiplex Cross Point オリキャラ募集中 ( No.146 )
- 日時: 2010/05/08 15:22
- 名前: Faker (ID: x2W/Uq33)
Multiplex Cross Point─多重交差点─ 第六話
重圧な空気だ、と柚葉 椛は思う。
【楽園】の名を冠する廃ビルの休憩所。
その場所のソファで、金色の短髪の少女は静かに寝息を立てていた。
眠る彼女の隣で【荒廃せし失楽園】随一の回復魔術の使い手である結月 采音は彼女の手を握っている。
触れる事で結月は手に宿る【再生】の力でカノンの回復に務めているのだ。
そんな現状を前に、柚葉 椛は思う。
(敵の奇襲に気が付かなかったとは…。何という不覚)
敵によって外の状況から注意を逸らされる術式を発動されていたらしい。
だから、敵の攻撃に気が付けなかった。
何と、情けの無い事か。
歯を噛み締め、俯く椛だったが、彼女の頭にポンッと誰かの手が乗った。
彼女は知っている、この暖かく優しい手を。
「クロト…」
「椛ちゃん…、副隊長の所為じゃ無い。気に病むな」
「ふん…阿呆。お前なんかに慰められても嬉しくは…無いんだからな」
そっか、と彼は言うと、カノンの方を見る。
結月が看る中、紀和と黒雅はカノンを見つめていた。
その瞳から感じられるのは、心配、だろうか。
もしくは、疑念、かもしれない。
あの時、カノンが絶叫し、彼女を中心として白色の重苦しい光が展開された時。
白色の重苦しい光…、否、光では無く闇と例えた方が正しいか。
錆螺 唄の偽者は白色の闇の中で絶叫と共に溶解されていった。
まるで、1が0となるように。
そして、白い闇が晴れた後、カノンは意識を消失し、その場に崩れ去った訳だ。
クロト達が知る魔術に、あんな魔術は無い。
(…何なんだ、ありゃあ。…分からない事は多いが、)
1つだけ分かる事がある。
あの白い闇こそが、カノンという少女が狙われる真価だという事。
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