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Re: Multiplex Cross Point オリキャラ募集中 ( No.169 )
日時: 2010/05/22 16:51
名前: Faker (ID: x2W/Uq33)
参照: http://nicosound.anyap.info/sound/sm10381272

「ん…!? おい、目が覚めたか、小娘!?」

朦朧とする視界。
休憩所のソファーで寝かされていたカノンは千堂 紀和の声で、はっきりと意識を取り戻した。
上半身を起こし、カノンは周囲を見回す。

「カノンちゃん!! …良かったぁ、無事だったんだ…」

結月 采音は安堵したように胸を撫で降ろす。
その隣で、良かった、と黒雅は静かに呟いた。
何が、どうなっているのだろうか。
カノンは自分の置かれている状況を把握出来ていないようだ。
彼女は虚覚えの記憶を手繰り寄せ、必死に彼女は状況を把握しようとする。
だが。

────思イ出シテ良イノ?

「ッ!?」

重たく、冷たい声が脳裏を過ぎる。
直後に、身体に弱い震えが走り、手繰り寄せた記憶が水泡のように砕け散った。
理解の出来ない疲労感が身体を包み、カノンは荒く息を吐く。
その様子を見た結月が驚いてカノンの背を撫でる。

「カノンちゃん、大丈夫!?」

「…ッ。大、丈夫…」

「お、おい、無理をするなよ、小娘」

うん…、と力無くカノンは頷いた。
そんなカノンの姿に、紀和は彼女の身を一層心配する。
あの【白色の闇】が彼女に何らかの影響を与え、不調にしているかもしれない、と。
だが、それは違う。
彼女が急激な不調に陥ったのは【思い出す】という行為を行ったからに他ならない。

(どうして…。思い出せない、の…?)

彼女は疑問に思う。
何故、【思い出す】という普通の行為が出来ない?
だが、そもそも。
保護された彼女には記憶が無かった。

忘れているのでは無く、最初から記憶が存在していないのだ。

故に、【思い出す】という行為すら意味が無い。
ならば、何故。

【白色の闇】を展開した時、カノンは無いはずの記憶が再生されたのか。

それ以前に。
存在しない記憶を思い出そうとする度に聞こえる【声】は何なのだろうか。
蓄積されるのは疑問。
まだ、全ての疑問を解き明かす鍵は見つからない。