コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Multiplex Cross Point オリキャラ募集中 ( No.172 )
- 日時: 2010/05/22 17:09
- 名前: Faker (ID: x2W/Uq33)
【楽園】の名を冠する廃ビルの地下。
寂れ、一切の光が無い地下に、一人の少女が居を構えていた。
小柄で童顔、床に着きそうな暗い灰色の髪。
フリル、リボンの付いたパジャマを連想させるロングワンピースの上に、丈の長い薄紫のカーディガンを羽織る少女。
歴史と埃にまみれた少女、マミヤ・メグカ。
【荒廃せし失楽園】のメンバーだが、メンバーの一部のみしか彼女の存在を知らない。
普段から地下の古ぼけた部屋に籠もり、大量のアネモネの花に囲まれ、蔵書と共に日々を過ごしている。
普段なら、本を読んで一日が終わるはずだった。
そう、普段なら。
「おい、マミヤ!!」
乱暴に古びた部屋の木製扉が叩かれる。
乱雑なノックね、と鬱蒼しそうに呟き、彼女は本を手にしたまま指をパチンと鳴らす。
直後、バンッと勢い良く扉が内側に開き、うわッ、と驚愕の声を上げて亜麻色の髪の少女が部屋に転げ入って来た。
「何か用かしら、椛」
「用があるから来たんだ。…あと、普通に扉を開けられるように結界魔術を解いておけ」
「最近は物騒なのよ。結界は護身用。家を留守にする時、玄関扉に施錠するのと同じよ」
減らず口め、と吐き捨てる椛に、マミヤは興味が無さそうに本に目を通す。
だが、椛がマミヤの態度に怒る事は無い。
彼女を【荒廃せし失楽園】にスカウトした時から分かっていた事だ。
「本題に入るが構わんな」
「ええ、どうぞ」
「単刀直入に言う。───────────【ゼロの術式】に関しての情報を貰おう」
マミヤ・メグカは椛の言葉に、ピクリと反応する。
そして、静かに笑みを浮かべた。
「【ゼロの術式】…、ね」
と、彼女は静かに呟き、持っていた本をパタンと閉じた。
彼女は、【荒廃せし失楽園】の中で錆螺 唄に匹敵する情報量を持つ人物だ。
錆螺 唄が現在進行形の情報取得を得意とするなら、彼女は昔から存在し、歴史の中に消えた情報を多く手にしている。
そして、錆螺 唄は今、【ゼロの術式】に関しての情報を集めているが結果は芳しく無い。
故に、【ゼロの術式】が古来より存在し抹消された存在と仮定した椛は、マミヤに問い掛けたのだ。
「その口振りでは知っているようだな」
「ええ。さて、少し長い話になりそうね…」
面倒だ、と言外に示すように溜息を吐いたマミヤは、ゆっくりと口を開き語り始める。
【ゼロの術式】という、カノンの【白色の闇】に関連するであろう魔術を。