コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: Multiplex Cross Point キャラ募集中 ( No.19 )
日時: 2010/03/30 18:42
名前: Faker (ID: xFQn5lM8)

Multiplex Cross Point─多重交差点─ 第三話 情報屋と鉄の十字架

始まりは、一通の電話から。
昼を過ぎた頃、椛の携帯に着信に入り、彼女は携帯の液晶画面を見た。
其処には、錆螺 唄、と言う名前が表示されている。

(【情報屋】…。あちらから連絡を取ってくるとは、珍しいな)

錆螺 唄。
18歳という若輩ながら、卓越した魔術の腕と情報収集能力に長けた人物の名だ。
過去にクロトが食い逃げをした際、彼を捕まえた人物で、それが縁で【荒廃せし失楽園】にスカウトされた人物。
【情報屋】の異名と、宗教に関連した魔術を使う事から【神聖】の名で魔術師達に知られている。
普段は単独行動で、こちらから連絡する事はあっても向こうから連絡してくる事は無かった。
しかし今、彼から連絡が来たのだ。
何となく嫌な予感がしたが、椛は電話に出た。

「椛だ。何か用か、情報屋」

「どうも、椛さん」

電話の向こうから聞こえて来たのは丁寧な口調の青年の声だった。
彼女が知る、錆螺 唄の声である。

「…何か用か、と聞いている。早く答えろ」

「では率直に言います。…助けてくれませんか?」

「は?」

「追われてましてね、少し手助けが欲しいんですが…。おっと、来ましたか…!?」

電話の向こうで誰かが走る靴音が響いている。
間違い無く、錆螺 唄の靴音だろう。

「追われてる…? 相手は魔術師か?」

「ええ。かなり執拗で、撒くのは難しいですね」

「お前の実力なら並の相手なら問題は無いだろう」

「まぁ、基本的にはそうなんですが…。今回は状況が状況なんで」

何か含みの有る言葉に椛は携帯に耳を澄ました。
聞こえるのは錆螺の靴音、そして聞き取り難いが、テンポの合わない靴音が二つ。

(追っ手は2人か。…だが)

1つだけ気掛かりな事が。
聞こえる靴音は錆螺、追っ手の2人、そして、錆螺の隣からもう1つ靴音が聞こえている。

「お前、連れがいるのか?」

「正解です。電話越しで、こちらの状況を把握されるとは話が早くて結構です」

「そいつは魔術師なのか?」

「残念ですが一般人…、ですね」

「…今、言い淀まなかったか?」

「いいえ、気の所為では?」

「そうか。なら、1つ確認だ」

「どうぞ、何なりと」

「追っ手の魔術師の目的は、お前か一般人か」

「一般人の方ですね」

「ならば我々の領分だ。一般人を襲うテロリストの如き魔術師共は私たちが殲滅する」

「力強い言葉です。では、早急にお願いします」

錆螺はそう言って、電話を切った。
彼女は携帯を手に持ったまま、とある番号に電話を掛ける。
それは、【荒廃せし失楽園】の別働部隊────────、

「任務を言い渡す、─────────【鉄の十字架】」