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Re: Multiplex Cross Point キャラ募集中 ( No.51 )
日時: 2010/03/30 21:38
名前: インク切れボールペン (ID: xFQn5lM8)

それは、突然としてカノンの前に現れた。
道を阻むようにして、一種の壁の如く佇む、それは。

5mに及ぶ巨躯に、鉄屑で形成された体は、路地を塞ぐ壁となる程の大きさを持っていた。

それは、人間を連想させる体をしていた。
大地を踏む度に、周辺を振動させる鉄屑で出来た両足。
殴られれば、どんな屈強な人間でも肉塊に変わるであろう、凶器の両手。
そして、鉄屑で形成された顔らしき部分には口のような穴と、妖しく光る、赤き双眼。

「…」

正しく、怪物と評して良いであろう、それは。
カノンを阻むようにして現れ、その赤き双眼で彼女を見据えた。
そして、

その手を、カノンに向かって伸ばして来た。

目的は明らかに、彼女だ。
それを瞬時に理解したカノンは、すぐに道を引き返し、走った。
だが、


怪物が一歩、足を踏み出して起きた振動によって、彼女は態勢を崩して、その場に転げた。


しかも、最悪な事に片足を変な方向に捻ってしまい、動きが取れなくなってしまったのだ。
捻った片足を抑え、後を振り向いた彼女が見たのは、


怪物が鉄屑の剛腕を堅く握り締め、彼女に一撃を打ち放とうとする姿だった。


瞬間的に理解する。
あの一撃を受ければ、確実に彼女は物言わぬ肉塊と化すだろう。
だが、片足を動かせない彼女に、回避する術は───────、無い。

「ウォォォォォォ…!!」

怪物は唸り声を上げ、剛腕を打ち放つ。
そして、その一撃はカノンを物言わぬ肉塊に変える。




はずだった。




「伏せてろ、小娘!!」

剛腕が風を斬り、彼女に迫る中、カノンは聞き覚えの無い少年の声を聞いた。
それが聞こえた瞬間だった。


何処からか現れたレーザー光線のような細長い光が怪物の剛腕に直撃し、凄まじい爆発を起こしたのは。


しかも、一発には止まらず、無数のレーザー光線が何処からか現れ、剛腕に直撃し、爆破していく。
爆風が路地を駆け抜け、カノンは思わず、地面に伏していた。
その状況の中、彼女は聞き覚えの無い少年の声の意味を理解する。
伏せてろ、とは、こういう事だったのか、と。

「ゴォォォォォ…!!」

怪物が仰け反り、その巨躯を一歩、退かせてバランスを取った。
爆風が駆け抜ける中、怪物の腕は飛んで来ない。
どうやら、先程のレーザー光線のような光が怪物の腕を爆発によって完全に停止させたようだ。

「呆気ないな。やっぱ、こんな奴じゃ、俺の相手は勤まらない、って事だ!!」

はははははは、と高らかに聞き覚えの無い少年の声が路地に響き渡った。
すると、伏せていたカノンの前に突然として1人の少年が現れる。
紫色の瞳に青色の短髪、片手に銀一色の弓を携えた、小柄な少年。
彼は、カノンを見ると、笑顔で、

「無事だったみたいだな。ま、俺が来たからには安心しろよな!!」

「…誰?」

「おっと、名乗って無かったな。俺は、千堂 紀和。───────、お前を助けに来たんだ」

「私を…助けに?」

おう、と千堂 紀和と名乗る少年は答えた。