コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Multiplex Cross Point キャラ募集中 ( No.52 )
- 日時: 2010/03/30 21:39
- 名前: インク切れボールペン (ID: xFQn5lM8)
その瞬間である。
「グオォォォォ!!」
怪物が咆哮し、襲い掛かって来たのだ。
爆発によって崩壊寸前の腕を、さらに振るって来る。
「俺の【銀閃】の魔術射撃を受けて、まだ動かせるのかよ、あの腕!?」
「ダメ、危ない」
「無表情&棒読みで言っても、危機感は伝わらないぞ、小娘!!」
紀和がカノンに突っ込みを入れた、その時。
怪物が放った剛腕は既に、二人の傍まで接近していた。
紀和、カノンの二人が、剛腕に薙払われるのも時間の問題と思われた、その瞬間の事。
「邪魔」
抑揚の無い、青年の言葉と共に、剛腕は怪物の腕の付け根から完全に消えていた。
空中を回転し、紀和とカノンの真後に落ちる、巨大な鉄屑の腕。
斬り落とされた鉄屑の腕の付け根の前に、1人の青年が佇んでいた。
紅色の瞳に、肩くらいの黒髪のショートヘアー。
第一ボタンの開いた白シャツの上から、ボタン全開の黒の長袖上着を羽織る青年。
身長は平均よりも少し大きく、首からは紅い石の填め込まれたネックレスを掛けている。
そして、その手には鋭利な切っ先を持つ、自分の身長と同程度の槍の柄を掴んでいた。
「紀和。助けに来た」
青年は抑揚の無い、感情の感じ取れない声で、後に立つ紀和へと告げた。
槍の柄を片手で持ち、一回転させると、彼は眼前の怪物を威嚇するように槍の切っ先を突き付ける。
「…誰」
「おい、黒雅。コイツが、誰だって聞いてるぞ。答えてやれ」
「俺は黒雅 誡。よろしく…」
青年は告げると、眠たそうな欠伸をした。
そんな青年に対して紀和は、緊張感無いな、と突っ込む。
「そうだね。もっと、緊張感を持って行こうよ」
「そうだな…。って、うおおおおおお!?」
紀和は突然として隣から聞こえた少女の声に驚愕の声を上げる。
彼の隣には、緩いウェーブの卵色の長い髪の少女が佇んでいた。
「三回目だけど。…誰」
「結月 采音だよ。貴方を助けに来たの」
「…私を」
「そ。だから、この怪物を倒しちゃおう、黒雅君、紀和」
「突然の登場に突っ込みたいんだが、その猶予は無しなのか」
「もちろん。紀和、小さい事ばかり気にするから身長が伸びないんだよ?」
「言ったな!!」
「言ったよ。何か文句あるの、私は【鉄の十字架】の部隊長だよ?」
「権力を使うな、この後衛専門め!!」
「後衛がいるから、前衛は戦えるんだよ!?」
「この料理だけが取り柄のバカ隊長め!!」
「うわ、暴言を口走る!? だったら、私だって言うよ、言っちゃうよ!?」
「やってみろ、料理長!!」
「暴言ですら無い!? 紀和、私はそれについて突っ込んで良いのかな!?」
「不可能だ」
「そのままボケを流せと!? 関西人の血が騒ぐよ!?」
「まず、お前、関西人じゃ無いだろ」
「違うけど、その魂を受け継いでるよ。私の魂が光って唸る、ボケを突っ込めと轟き叫ぶッ!!」
「帰れ」
「うわ、冷静に一蹴された!! 黒雅君、どう思う、紀和のこの態度!?」
「良いと思うけど」
「抑揚の無い声、最早、私たちに興味すら抱いてないね!?」
「よーし、黒雅。隊長は放っといて、その怪物を早いとこ倒すぞ」
「スルー!? 敢えてのスルー、紀和!? 此処まで会話を発展させて放り投げちゃった!?」
そんな結月 采音を放置し、紀和と誡は得物を手に怪物の前に立つ。
怪物の片腕は斬り捨て、無力化したものの、まだ片腕が残っている。
「俺の実力を見せてやる。援護する、ぶち抜けよ、黒雅!!」
「善処する」
「ちょ、紀和───ッ!! 指示は隊長である私の役目なのに─────ッ!!」
「行くぞ!!」
「頑張ろう」
「無視ですか!! 副隊長、私の部下達が反抗期で命令を聞いてくれませーんッ!!」