コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Multiplex Cross Point 更新中 ( No.764 )
- 日時: 2010/12/13 21:11
- 名前: インク切れ (ID: uUme72ux)
- 参照: 猫に手痛い反撃を受けました。
縦横無尽。
”雷光の弾丸”はセルゲイの予想を遙かに超えた軌道を描き、彼の身体に突き刺さる。
反撃の隙など、全く見つからない。
”拳銃”を手にする雅依 輝星と雅依 光星は、舞踊の如き素早い挙動で的確に”雷光の弾丸”を放つ。
”Bullet Dance(魔弾舞踊)”。
舞踊を連想させる疾い動きを以て、武器である”雷光の弾丸”を撃ち放つ。
魔術によって発生する”雷光の弾丸”は、普通の弾丸とは異なる軌道を描く。
時に歪曲を描き、時に二発の弾丸は交差し、時に床に当たった弾丸は跳弾の如く跳ね、予想も付かない軌道を見せる。
加えて、尋常で無い速度を見せる”雷光の弾丸”は、瞬きを終えた瞬間には身体に当たっているのだ。
速度と奇抜な軌道。
雅依 輝星、雅依 光星、二人の動きは舞踊の様で、奇抜な軌道を描く”雷光の弾丸”は魔弾と呼ぶに相応しい。
正しく、”Bullet Dance(魔弾舞踊)”とは名の如し、だ。
更に、他の魔術師達も”Bullet Dance(魔弾舞踊)”の動きに合わせ、援護を放つ。
その中には、公孫樹の登場に一度は唖然としていたレイヌやあがさ、一命を賭してセルゲイと相討ちを狙った黒雅の姿もある。
それまで、紀和の治療に専念していた結月の姿も。
誰もが、勝利を掴むが為に。誰もが、捕らわれたカノンを助ける為に。
猛烈、それでいて、疾き攻勢。
最早、たった一人では、この勢いを覆せない。
このまま圧されれば、セルゲイは膝を屈する事となる。
熾烈な攻撃に曝され、躯にダメージが蓄積し、意識が徐々に躯から離れていく。
(お…のれ…。こんな…、こんな童共に…、この私が…、『猛火』のセルゲイ・ディスコラヴィッチが…)
ぐらり、と。
躯が揺らぐのを、セルゲイは確かに感じた。
だが、刹那にセルゲイは躯に渾身の力を籠める。
「─────────────────負けると、思っているのかねッ!!!」
魔術によって、爆発が起きる。
それこそ、猛烈な攻勢に曝されていた状況を、一瞬にして覆す一撃。
爆発は、雅依 輝星を、雅依 光星を、公孫樹 雅を、冥弛 裄乃を薙払う。
攻勢が崩れた一瞬を狙って、セルゲイは飛ぶが如き勢いで、次の敵に視線を移す。
獲物を視線上に捉える猛禽類の様に。
「童ァァ────────────────ッ!!!」
焔の巨槍を一穿に刺突を撃ち放つ。
周囲に爆風を振り撒きながら放たれる刺突は、残った魔術師達に襲い掛かる。
「好き勝手にさせると思ってんのか、クソ爺が!!!」
両手を突き出し、威牙は眼前に”アイギスの盾”を展開する。
刹那、焔の巨槍の刺突は”アイギスの盾”を以て、漸く阻まれた。
だが。
「…調子に乗るな。小僧」
バギンッ!! と、”アイギスの盾”に皹が生じた。
バキバキ…、と一度は停めたはずのセルゲイの焔の巨槍に圧されて。
思わず、威牙は息を呑んだ。
”アイギスの盾”越しに見える、セルゲイ・ディスコラヴィッチの憤怒と狂喜の混じった、その歪な表情を目にして。
「やっと…だ。この数年、私を本気にさせる者は無かった。だが、今は違う」
漸く、私に苦戦をさせる者達が現れた。
漸く、私が”本気”で戦える相手が現れた。
「これぞ僥倖と呼ばずして何と呼ぶ!? 待っていたのだよ、私は君達を!!!」
戦おう、【荒廃せし失楽園】。
命を削れ、死力を尽くせ。
「腹を括ってくれたまえ。此処からが、───────────────────このセルゲイ・ディスコラヴィッチの真骨頂だ!!!」