コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Mistake . ( No.17 )
- 日時: 2010/09/04 01:16
- 名前: 凜 ◆zyGOuemUCI (ID: hqWYiecP)
#02 ( ある意味神だ )
俺とネーミングセンス零の綺麗な人は、一時間程前に部長に資料室の整理を頼まれた。最初の三十分間は真面目にやってた。はずなのに。
「あの……」
「ん?」
「何でメモ帳に腐ったジャガイモみたいな絵と"フレッシュリーマン君"て字書いてるんですか?」
ネーミングセンス零の綺麗な人は、資料整理という地味すぎる仕事に飽きたのか、メモ帳に落書きをしていた。
そのメモ帳を後ろからちらっと盗み見してみると、芸術的なんだか下手くそなんだか腐ったジャガイモなんだか最早わからないような絵の下には"フレッシュリーマン君"という多分俺を指しているであろう名を書かれていた。
すると彼女は照れたように笑いながら言った。
「私人の名前と顔が一致しないってことが多くて。こうやって似顔絵と名前書くようにしてるの。ちょっと忘れちゃったときとか、これ見たらすぐ分かるし」
「……てことは、その絵は」
「そう。君」
「そんな絵と"フレッシュリーマン君"で俺を思い出すんじゃねえ!」
思わず声を荒げて叫んだ。
「いたたたー。女の子にデコピンなんてしないよ? 普通」
少し赤くなった額を押さえ、涙目で俺を睨む。
確かに俺は小さい頃親父から「女の子に手上げちゃいけない」って言われ育ったけど、今回ばかりは俺は悪くない。正当防衛のようなもんだ。
「折角上手に描けたのに。似顔絵」
「あれで上手なのか……」
少し大げさにため息をついて、特に意味もなく呆れてる加減をアピールしてみた。が、残念ながら彼女は気付いてないらしい。
彼女は俺に背を向け、また資料の整理を再開したらしいので、俺もまた再開した。
再開した十分後。俺に背を向けて仕事をこなしていたが、急に振り向いた。
「あのさ。君も私の名前覚えてないでしょ」
「あー、えっと……」
図星だった。あまりにも簡潔な自己紹介で、呆然としていたせいか、全く名前なんて覚えていなかった。
「すいません……」
何も言い返せないっていうか俺が完全に悪いので、素直に謝った。きっと怒るだろうという俺の予想と真逆な答えが返ってきた。
「いいよ。別に」
「え?」
「だって私も君のこと"フレッシュリーマン君"としか覚えてないし」
「いや、それはちょっと、勘弁してほしいっていうか……」