コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: Mistake . ( No.22 )
日時: 2010/09/04 01:19
名前: 凜 ◆zyGOuemUCI (ID: hqWYiecP)

#06 ( 決定 )

「おい、愛沢。俺の話聞けよお前!」
「やだ変態! 触るな変態! 失せろ変態!」
「五秒間にどんだけ変態って言うんだよ!」
 俺は今さっき、というか二十分前の一言を猛烈に後悔している。その一言とは、例の「そうだよ」発言だ。またも俺の性格が機能してくれなかった。何という事だ。
 あの発言の後から、愛沢が俺を異常なほど避けるようになってしまった。それに俺を変態呼ばわりしてくる。二秒に一回は変態と言われ、もう俺は変態なのかもしれないと思えてくる。
 別に愛沢と喧嘩したくてアクセサリーショップに来たわけじゃないんだ。喧嘩して機嫌が悪くなった里子に機嫌を直してもらおうとアクセサリーっつーもんを見に来たのに、何で愛沢とまで喧嘩してんだ。馬.鹿か。
 我に返った俺は、今はすっかり警戒しきった愛沢に宥める様に優しい口調で弁明する。
「違うんだよ、愛沢。さっきのはな、冗談だ。お前をちょっとからかってやろうと思ったんだ。可愛い冗談じゃないか」
「そっそんなのわかってるわよ! なに言い訳みたいにしてんのよ、あんた馬.鹿? 避けてるのはね、あんたを焦らせようとしただけ! 悪戯よ。悪戯」
 言ってるそばから顔が赤くなってるぞ愛沢。こいつ、本当はすごいわかりやすいやつなのかもしれない。
 初めて会った時はなんかミステリアスって感じがしたんだが……。どうやら俺の勘違いだったらしい。今はもう里子よりも扱いやすいやつだと思えてきた。
「おいおいおい、今時そんな分かりやすい嘘吐くか? 最初の"そっ"は何だ。明らかに動揺してるじゃないか。絶対俺の発言にドキっとしただろ!」
「してないしてないしてなーいっ!」
「お前、自分の都合が悪くなったら絶対同じこと三回繰り返すだろ。前も"うるさいうるさいうるさーい"って言ってただろ」
「黙れ。それか塵になれ!」
 外見と言ってることのギャップがすごい。思わず拍手を送りたくなるほどの口の悪さだ。
 愛沢、すごいぞー。お前すごい口が悪いぞー。

「ねね、これとか、どう? 彼女ちゃんに似合いそう?」
「あ、良いかも」
 結局愛沢の機嫌は大好物だというドーナツ一つで直った。本当に扱いやすいやつだ。
 俺はそんな扱いやすさに感謝しながら、愛沢が自分の鎖骨あたりに当てているネックレスを見る。
 そのネックレスはシルバーでハートの形をしたものにちょこんと綺麗な青色をした石がついている随分と可愛らしいものだった。
「うん、似合いそうだ」
「それじゃ、決定だね。良かったね良いのがあって」
 嬉しそうに微笑む愛沢に、つられて俺も笑顔になる。
「おう。有難うな、愛沢」
「お礼ならドーナツでしてよね!」
「またかよ!」