コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Mistake . ( No.31 )
- 日時: 2010/09/04 02:12
- 名前: 凜 ◆zyGOuemUCI (ID: hqWYiecP)
#11 ( 予言 )
「君ら結構噂になってんで。付き合ってるんちゃうか? とか、結婚するんちゃうか? って」
唇の端を吊り上げて意地悪そうに笑いながら言う峰岸先輩に、若干恐怖を感じながらも俺はその噂をすぐ否定した。
「何でそんな噂たってるんですか……。俺はこんな性悪女なんとも思ってませんし、実際なんにもありません」
「こんな食べるのも仕事もとろいヘタレと、この私が噂になるなんて……。二千十二年に地球がどうにかなるって予言と同じくらいありえないことだわ」
愛沢もため息交じりに否定する。……いや、愛沢のは噂を否定したというよりも、俺という存在を否定したと言った方が正しいであろう。
「あー、なんやそんな話もあったなぁ」
峰岸先輩はふっと鼻で笑った。あの予言とやらを信じてないらしい。まあ俺も信じてないが。大体、占いとか予言って胡散臭さマックスなんだよ。あんなもん信じるやつの気が知れない。
未来なんて誰も知らない。知ってるわけがない。だから面白いんじゃないか。未来はどうなっているんだろうって気になるから生きていくんじゃないか。
予言者とかいうやつも、たかが人間だろ? 神ぐらいしか知らないんだよ未来なんて。まあ神もいるかどうかなんて知らないけど。
「ノストラダムスの大予言ってやつも外れたしね。予言なんて結局話題づくりでしかないわ。それと同じ。噂だってただの話題づくりよ」
珍しく俺も愛沢の意見に同意した。
「君ら若いのに現実主義やな」
「若いって……。峰岸先輩と二つしか違いませんよ僕ら」
俺は苦笑しながら言う。
「その二つが結構でかいんやで? まあ、君らも後輩とかできたら分かると思うけど、なんや自分がごっつ年取った気すんねん。後輩っちゅーもんは嫌なやつやで」
「その後輩を目の前にそんなこと言っちゃいますか」
「いやあ、楽しかったわ。なんや君ら特殊やなあ。去年入社した後輩は俺に媚売ってきて鬱陶しかったんやけど、君ら全然俺に意見言ってくるし」
「あっ、すいません、つい……。次から気をつけます」
そう。俺ら三人はあの予言の話で盛り上がってしまい、脱線に脱線を重ね、最後には何故人間が生まれたのかというところまで行ってしまった。
自らの意見を言い合い、時には皆無言でじっくりと考える。仕事の会議よりも熱く深く語ってしまっていた。
「いやいや、ええんやで。逆に直すな。長所やねんから。先輩後輩関係なく意見を言えるのはええことや。君らこれから伸びると思うわ」
「あ、有難うございます!」
俺が尊敬する峰岸先輩に褒められ有頂天になっているときに、愛沢は吐き捨てる様に冷たく言った。
「私はこんなやつ伸びないと思いますけど」