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Re:   Mistake . ( No.41 )
日時: 2010/10/11 08:05
名前: 凜 ◆zyGOuemUCI (ID: hqWYiecP)

#14 ( エリート社員の如月先輩がバトルをしかけてきた! )

「なあ、愛沢。お前あれ覚えてないの?」
「……え、何のこと?」
 あからさまにきょとん、という顔をするので俺は思わず肩を落とした。なんで愛沢は覚えていて欲しいこと、説明しづらいことを忘れるのだろうか。これも俺に対する嫌がらせなのか。
「いやぁ……その、あれだよ。峰岸先輩言ってただろ、如月先輩はだめだって」
 俺はいつも以上に慎重に言葉を選びながら言った。そのせいか、言葉がつまる。
「私は明確な理由がないことは信じないの。いくら先輩が言ったことでもね」
 ……なるほど全うな意見だ。
 確かにいくら出来る先輩だからって、根拠のない話は無理に信じることもない。しかしなんか怪しい感じがするんだ。いや"怪しい"というか"妖しい"の方がしっくりくるな。妖しいんだ、如月先輩は。
「パスワード画面もう出てるわよ」
「あ、おう」

* * *

「柏木君いますかー」
「ひょ!?」
 間抜けな言葉というか擬音みたいなものを突如叫んだ俺に、同じ課の先輩達、さらには課長までもが仕事をする手を止め俺の方を見る。勿論愛沢も、珍しい動物でも見るような目で俺を極視している。
 別に意味もなく叫んだわけではない。結構なチキンで常識も持っている俺がそんなことするわけない。
 驚いたのだ。めんどくさーい作業を任されたせいで……失礼、間違えた。"愛沢から回ってくるせい"だった。
 それでちまちまとパソコンの画面に集中して作業をしていたところに名前を呼ばれるもんだから、なんていうか無防備なときに……そうだ、寝起きドッキリと同じだ。寝ているときに悪戯なんかされたら驚くっつーもんだ。
「す、すいません……」
 とりあえず仕事の邪魔をしてしまったことを謝り、俺を呼ぶ声がした方を見る。と、そこには。
「如月せんぱっ……」
「あれ、柏木君何で俺の名前知ってるの?」
 如月先輩の当然な疑問にも答えず、俺はフリーズした。
 いやいやいや、もう頭の中は先日新作が発売されたあの有名なモンスター同士がバトルするロールプレイングゲーム風に"野生の きさらぎせんぱい が あらわれた!"みたいなもんだ。
 珍しいモンスターが現れてビックリ! どころじゃない。みねうちして眠らせたのにボールが三回転がらなくてビックリ! どころでもない。
 なんかもう草むらでも海の上でもない普通の道でモンスターが出てきちゃったよぐらいの驚きだ。……分かる人にしか分からない例えを連発して申し訳ない。少しでも驚きの具合が伝わったら幸いである。
 はっと我に返ったとき、如月先輩が目の前にいる。あれ、さっきはあのドアのところに居たのに。え、手を振ってる?
「もしもーし、柏木君だよね? 聞いてるー? シカト?」
「ふひょーっ、すいません!」