コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 裏表Love Fight! +実話+ ( No.100 )
- 日時: 2010/06/04 18:16
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
- 参照: 今進まなきゃってそう誓った(by.You bet!!
第七十二話『雷の挑戦状』
イカヅチノショウタイジョウ——。
それは、あの仔からの私への挑戦状。
——上等、じゃん。
**
「暇だーす」
結構な時間が過ぎた。
時計を見れば、十六時ちょっとすぎだった。
私は一人で、ひたすら廊下を行ったり来たりしていた。
「……ぬ」
その時前から怜緒が紙を持ちながら、急いで私の横を通り過ぎた。
あの様子から行くと、まだ委員会の最中なんだなぁ……。
そう思ってると、
「……私、姫吉やだ〜」
廊下に座っていた女子の集団から、そんな声が聞こえてきた。
見れば四組の安沢あやみと三藤夢々、そして三組の喜沢雪子ちゃんとかが居た。
私は足を止めて、その三人の方を見る。
「えぇ〜? 姫吉嫌なの?」
「うん!」
「姫吉、超優しいじゃん」
「うんうん」
姫吉、超優しいじゃん。
ヒメヨシ、チョウヤサシイジャン——……。
ええええええええええええええ!?
「あっひょ」
まさかの新しいライバル登場!?
ちなみに、姫吉超優しいじゃんって言ったのは安沢あやみと三藤夢々。
怜緒はやっぱりモテるんだなぁ……。
これはまたピンチ再来かも。
「……気分転換に、階段でも行くか」
私はこの会話を聞かなかったことにして、階段へと向かった。
*階段*
「放課後の階段は、静かですのぉ」
私は階段の手すりを引っ張りながらそう呟いた。
この鏡があるところ、なんか出そうだよねぇ〜……!!
後ろに悪魔とかが映ったりして!?
なーんちゃって。
「……さて、戻るか」
なんか一人ではしゃいでても、イマイチだす。
視聴覚室まで戻るのめんどくさいけど……。
そう思いながら階段を上がっていると、
「——テニスってさぁ〜、——……」
愛可のでかい声が聞こえてきた。
私は思わず階段の柱にしがみ付いた。
見れば、弓香など複数の女子が降りてきた。
愛可の姿は、まだ見えない。
「……依麻、怖い怖い」
「……あは、セミごっこなんちゃって〜」
「…………」
やべ、しらけた。
私が軽く苦笑いしていると、愛可とバッチリ目が合った。
そのとたん、
「……ねぇ、マジ森野怜緒に余計な事言ったぁ〜!!」
「!?」
愛可が私の顔を見ながら、大きな声でそう言った。
私は思わず目を見開く。
「もう愛可嫌だ〜! 森野のせいで怜緒に誤解されるし、馬鹿にされるし!! もう本当最悪ぅ〜」
愛可は、わざとらしくそう言った。
そして私をチラ見したときの目が——、
勝ち誇った目をしていた。
「……っ!?」
この瞬間に、私の頭の中で何かが弾けた。
あの愛可の挑戦的な態度、
あの愛可の挑戦的な目——……!!
そして、わざとらしい自慢の仕方!!
愛可は私の横を通り過ぎ、そのまま玄関へと姿を消した。
玄関へと消えたとたん、愛可のでかい声の自慢がピタリと止まった。
「……絶対自慢だ、あいつ」
私は小さく呟いた。
くっそぉぉ、自慢しやがって……!!
しかも私の前で!! 怜緒が好きな私の前で!!
確か愛可ってさ、最近噂になってるけど彼氏出来たんじゃなかったっけ!?
三組の石垣和輝って奴!!
なのに、愛可のさっきの態度は——。
怜 緒 の 事 が 好 き み た い じ ゃ ん !!
「……わかったよ」
これは、愛可への私の挑戦なんだね?
上等じゃん。
愛可は怜緒の元彼女だけど、二回別れてるし……。
怜緒も愛可の事を振ってるし。
だから、一応割合的にはお互いに五分五分だよね。
まぁ私の方が少々不利な状況ですが……。
「……——負けない」
愛可なんかに、絶対負けない。
負けてたまるもんか。
女子から睨まれても、
陰口言われても、
何言われても、
自分の想いを信じて——、
愛可に勝ってやる!!
雨が、静かに恋の戦いの開始を告げた。