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Re: 裏表Love Fight! +実話+ ( No.114 )
日時: 2010/06/10 18:30
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: HYの『NAO』の歌詞がまったく今の自分の気持ちと同じ(( 

第七十四話『補習での出来事』


やばい。


君を見るたびに、どんどん気持ちが加速していく。


「……十六点……」


五十点満点の数学小テスト。
ふふ、半分もいってないじゃないか。
あはは、あははははは。
もう笑う事しか出来ないだす。


「では、この小テストで三十点以下の人は昼休みに補習〜」
「え」


私は一気に固まった。
昼休みに——。


        補 習 で す と !?


「うわー……」


これは最悪だ。
貴重な昼休みが補習に削られるとは……。
私は十六点という数字を見つめ、ため息をついた。


*昼休み*


「あ、依麻も補習!?」
「お、もしかして綾も!?」


補習場所は、視聴覚室。
筆箱を持った綾に遭遇し、私たちはお互いにハイタッチをした。


「一緒に座ろ! ちょうどあそこに二つ空いてるから」
「うん、いいよ!」


綾が指を差したのは、前から二番目の席。
ちょうど二つ椅子が空いているので、ラッキー!
前の席は誰も座っていなくて、三つ椅子があった。


「じゃあ依麻、プリント持って来るね」
「うん、ありがと〜」


綾が前へ行ってプリントをもらいに行く。
私はその場で綾の方を見つめ、ただ突っ立っていた。
すると、


「ほっしゅうっだほっしゅうっだ〜」


怜緒の声が聞こえてきた。
——って、怜緒!?
見れば、ドアのところには怜緒と望が居た。
二人と軽く目が合うが、私から瞬間的に逸らした。


「……っ」


なんかドキドキが止まらない。
怜緒の点数は何点だったのか——。
気になることは、いっぱい頭の中に思い浮かんだ。


そして何よりも、前の席に来てほしい——……。
そんな叶わない願いを抱いていた。


「……」


見れば、二人はどんどん近づいてくる。
そして一番前まで来て、私の前の席で止まる。
……え? ええ?


「おう、バカ〜依麻〜!」


望が軽く笑いながら言った。
そしてそのまま、望は私の前の席の椅子に手をかける。
もしかして——……!?


「ここの席にするか」
「!?」


怜緒と望は、私の前の席に座った。
そして、望が駿を呼び一番右に駿が座る。


「姫吉を前にしてやったぞ!!」


望がこっちを向き、偉そうな顔で笑った。
私は「うざっ」と呟きながら、望の椅子を軽く蹴った。
でも——……やっぱり嬉しい。
望に感謝!!


「依麻、おまたせ! やろー」
「おっけー」


綾がプリントを机に置き、問題を解き始める。
私は問題が書いてあるプリントを見ず、すぐ前に居る怜緒の横顔を見ていた。


「……」

久しぶりに近くで見る横顔。
日に焼けて、いつもの白い肌が少し黒くなっていて。
一年生の頃の高い声は、少しずつ声変わりしていって。
肩幅も、少し広くなった気がする。


「…………」


久しぶりに、こんな近くで怜緒を見た。
こんな感情、一年生のクラスの時以来だ。
横顔も正面の顔もかっこいい……!!
そう思っていると、後ろから中島らしき声で「姫吉〜」と言っている声が聞こえてきた。
それと同時に怜緒が後ろを向いた為、私は慌てて怜緒からプリントへと視線を落とした。


「……やっ……! ——……俺やっぱり、康祐のとこ行こうかな」


怜緒が小さく呟く。
中島康祐が何をしたのかわからないけど——。
望が怜緒に向かって何かを呟いた為、とりあえず怜緒が動く気配はなさそうだ。
なんか今日の望が輝いて見える!!!


そう思っていると、勘付いたのか望がこちらを向いた。


「依麻、お前何点よ」
「教えない、望は?」
「二十一点。お前は?」
「……十六、点」


私が軽く不機嫌な顔で呟くと、望は「ぷっ」と吹き出した。
私は更に不機嫌な顔になる。


「いぇい、勝ったーっ!!」
「う、うるさい! 五点しか変わらないじゃん!」
「五点差があるだけでも、お前と大分違うぞ。こ・こ・が・な!」


望は自分の頭を指差しながら横目で私を見て、鼻で笑った。
そのせいで、私のイライラゲージは一気に上がる。


「偉そうにしやがって」


私は望に聞こえない声で、小さく呟いた。


**


「——よっしゃ出来た!!」


しばらくすると、怜緒が立ち上がった。
怜緒終わるの早っ!!
あわわ、怜緒をずっと見つめていたせいで五問しかやってないよ!!
どうするよ、自分!!


「依麻、私ももう終わるからね」
「ひぃ、綾まで」


綾は、残り二問。
私は慌ててシャーペンを走らせ、プリントの問題を適当に解いていった。


怜緒とは言うと、プリントを出してOKをもらって……。
筆箱を持って、椅子を片付けた。
そして、


「先に教室戻ってるぞーい」


なんとなくダラけた口調で言い残し、去っていった。
しかし、多分怜緒が言ったであろう望はシカト。


「……」


なんか、めっちゃ心臓がやばいよ。
どんどん加速していくこの気持ち。
もう今更ブレーキなんてかけれない。


「……どうしよう」


このまま喜んでいたって、切ないだけなのに。
今は幸せでも、後から悲しいだけなのに——。


でも、やっぱり——……。
私がしてる恋なんだから、切なくても構わない。
悲しくても構わない。


君と過ごす一秒一秒が、とても大切で素敵な時間なんだ。