コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 裏表Love Fight! +実話+ ( No.128 )
- 日時: 2010/06/12 15:06
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
- 参照: 「好き」と言われることが どんなに幸せか感じたい(by.NAO
第七十九話『疑問恋日和』
次の日——。
「でさ、恵〜」
手洗いの時、私は恵と話していた。
まぁ、いわゆる世間話……だす。
普通に話をしてストレス発散が出来たと思っていた。
なのに——。
「——……っ!?」
「……? 依麻?」
近くに居る怜緒が、こっちを見ているのに気づいた。
私は一瞬フリーズするが、すぐに恵の方を向いて怜緒に気づかないフリをした。
意識しないように決めていたのに——。
その姿を見るだけで、ドキドキする。
——あぁもう!!
友達から始めなきゃいけないのに……!!
ダメじゃん、私!!
「……っめ、恵、私手洗うね」
「わかった〜。じゃあ後でね」
私は恵と別れ、水のみ場の蛇口をひねった。
その際に、錬太郎が隣で腕を洗っていた。
「……あれ、錬太郎」
「落ちねぇ〜」
「腕に何書いてんの……?」
錬太郎が洗っている腕を見ると、筆ペンで『野球魂』と書かれていた。
そうか、錬太郎って野球少年だもんね……。
「まったく落ちてないよ」
「やばい、落ちねぇぇ」
錬太郎はひたすら腕を洗う。
私が軽く笑っていると、小さい奴が錬太郎と私の間に割り込んできた。
「ひぎっ! ……なんだ、望か」
「お前髪染めたべ」
「は? 染めてないし」
小さくて変な奴だと思ったら、望だった。
そしていきなり変な質問。
髪の毛は地毛ですよ、地毛!
「じゃあ抜いたべ? 茶色い」
「これ地毛だす」
「てかお前、早く引っ越せや」
「引っ越さないし」
望の言葉を、ポンポンと言い返していた私。
そして望自身も言葉攻めしていたが、数秒黙り出した。
「——……まぁ、同じ三上でも俺の方が上だし」
「は? 上とか下とか関係あるわけ!?」
「俺の方が、姫吉に好かれてるしな〜!!!」
うざい、非常にうざいですコイツ。
あぁ、こいつと同じ苗字で幼馴染っていうのが腹立ってきた。
そう思ってると、いつの間にか望は怜緒のところへテレポートしていた。
そして、怜緒と望はこっちをチラチラ見ていた。
……うざいなぁ。
「……あ、ケットン」
イライラしていると、ケットンを発見。
ケットンは私との間を一個分間を開けて、蛇口をひねった。
「あれ、ケットンも野球魂? 錬太郎もさっき腕に書いてたよ」
「うるせぇな〜。これなかなか落ちないんだよ」
ケットンはさっきの錬太郎と同じことを繰り返した。
私が笑いながら、さっきの望と怜緒の様子を見ようと軽く首を伸ばした。
すると、
「!」
すぐ後ろに怜緒が居た。
怜緒は私とケットンの間に入ろうとしている。
……が、少しためらう仕草を見せて戻っていった。
「……?」
怜緒の行動に疑問を感じたが、私は気にせず手を洗っていた。
**
五時間目は、学年集会。
明日はいよいよ宿泊学習なので、そのことについての集会だ。
私は体育館に入り、自分のクラスのところに座る。
一組は一番端なので、学年代表と隣同士になった。
「……あ」
学年代表のところに、怜緒が居た。
そうだ、学級代表だもんね……。
そう思って横目で見ると、怜緒の横には隆盛が居た。
「集会めんどくせーな、姫吉!」
「……うん」
うわぁ……久々の登場だけど、威圧感がすごい……。
怜緒が軽く戸惑っているのは、気のせい?
「姫吉、——……、——」
「……——、照れる」
隆盛と怜緒は、こそこそと話している。
怜緒の口からはっきり聴こえたのは『照れる』という言葉。
一体何が照れるんだ——……?
そう思ってると、
「旗持ちの人、準備〜」
先生の声がして、中島と怜緒と隆盛が動いた。
どうやら、この三人が旗持ちなんだろう。
こうして中島が左端、怜緒が真ん中、隆盛が右端を持って体育館ステージへ上がった。
「……めんどくさ」
集会が始まると同時に、私は小さく呟いた。
**
集会が終わり、旗持ちの三人は旗を下ろす。
中島と隆盛が先にステージを下り、残された怜緒は旗を綺麗にたたんでいる。
その際に、怜緒と軽く目が合った。
「……っ」
私が見つめていたから、怜緒がたまたまこっちを見たのかもしれない。
だけど、私の心はすごく嬉しかった。
*放課後*
「じゃあ明日の宿泊学習、楽しもう!!」
先生の号令と共に、私は教室を出た。
宿泊学習、楽しみだなぁ……。
何より、怜緒の私服が見れるしね!!
そう思いながら廊下に出て、恵と話す。
その際にふと違う方を見ると、こっちに向かっている怜緒と望と目が合った。
「……!!!」
ここ最近、ずっとブレザー着用だった怜緒がポロシャツ姿になっている……!!
やばい、やばいやばいかっこいい!!
私は思わずその場に倒れそうになった。
「うひょぶひょえひょ」
「……依麻、大丈夫?」
私が壊れるのを、冷静に見守る恵。
それと同時に迫ってくる怜緒と望。
そして、
「いてっ!」
望がわざと私にぶつかってきた。
私が振り返り二人の方を見るが、二人とも知らない顔をしていた。
……ムカツクなぁ、糞どんぐり。
そう思っていると、
「沙羅ー!! 沙羅沙羅ー!!」
女子の大群……沙理たちが、望と怜緒に向かってそう叫んだ。
どうせ望に言ってるんだろう……そう思ってスルーしたとたん、
「違うし、右の方も沙羅だし!!」
「え、姫吉も沙羅のこと好きなの!?」
姫 吉
この名前を聞いて、私はまた二人の方を見た。
見れば、二人ともシカトして歩いている。
怜緒が右に居て、望が左に居る……。
二人とも位置は当てはまってるけど——。
怜緒って沙羅のこと好きなの?
「…………」
いや、これは女子達の勝手な想像さ。
そう信じたい。
私は現実逃避をしながら、玄関へ向かった。