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Re: 嫌いに、なれたら +実話+ ( No.132 )
日時: 2010/06/12 17:15
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: 「好き」と言われることが どんなに幸せか感じたい(by.NAO

第八十一話『恋しい姿』


**


夕食が終わり、午後七時——。
学年レクの時間が来たので、宿泊先の体育館へ向かった。


体育館についたらまず、四組——……。
怜緒の姿を探した。
相手は学校のジャージなので見つけやすいけど……。
望と見分けがつかない!!!


「……依麻、今姫吉探してるしょ〜?」
「へ!? ……ゆ、由奈……」
「依麻、顔真っ赤だよ! かっわい〜!!」
「……っ子供をからかっちゃいけません」


私は頬を押さえながら、横目で由奈を見た。
そうだ、由奈は怜緒と同じクラスだから——。
しかも視力いいし、探すのを協力してくれるはず!!


「依麻、言わなくたってわかってるよ。姫吉は、あそこの大縄の一番前」
「え? ……あ、本当だ……」


四組男子の大縄の所で、怜緒は一番前に居た。
それと反対に、最後尾には望。
まったく同じだから見分けがつかなかったけど……由奈が教えてくれたから助かった!


「じゃあスタート!」


レクの司会の合図で、大縄が始まった。
うひゃあああ、怜緒の飛び方かっけぇ……!!
私は怜緒の華麗な飛び方に、目を奪われていた。


「——はい、終了! やめてください」


大縄が終了した。
な、なんだかあっという間だった気が……。


「依麻、姫吉の観察できた?」
「出来たできた!! やばいよ、これは伝説に残るよ」
「なにそれ〜」


私は目を輝かせながら、由奈に語っていた。
由奈は笑いながら、私の肩に手を置いた。


その他に九人十脚、クイズ大会と色々楽しんだ。
私は怜緒の姿を見て楽しんだ……という感じだけど。
まぁ、色んな意味で思い出に残りました!

*交流時間*


「依麻ーっ! 来たぞよ〜」
「綾、いらっしゃ〜い!!」


交流時間、綾が私の部屋に来た。
私は綾とハイタッチする。


「やっぱ依麻の部屋、病院みたいだねぇ……」
「だよねだよね! ……何か出たりして」
「やだぁーっ! やめてよ依麻!!」


私と綾は、大声で叫んでいた。
私は笑いながら、立ち上がった。
——交流時間なのに、廊下は異常に静かだった。


「……綾、体育館行かない?」
「うん、いいよ〜」


私と綾は、暇なので体育館へと向かった。


*体育館*


「うひゃ、男子ばっか」


私は小さく呟いた。
綾も「この空気暑苦しい」と呟く。
部屋で大人しく恋バナでもするか……と思った瞬間、


「姫吉取れーっ!!」
「!?」


望の声が聞こえてきた。
声が聞こえるほうを見ると、怜緒が居た。


望が渡したボールを、勢いよく蹴る怜緒。
大きな音と同時に、ボールが飛んでいく。


「……私たちも、ボールで遊ぼうか」
「え? 依麻、恋バナするんじゃ」
「遊ぼう、ね?」


私は綾を引っ張り、ボールを倉庫から取った。
そして綾に軽くパスする。


「もう依麻、姫吉クンと遊べばいいじゃ」
「それは無理! ……せめて、遠くから見ていたいの」
「……わかったよ」


綾はしぶしぶ、私にボールを投げた。
私は思いっきり打ち、綾も豪快に蹴っ飛ばした。
その瞬間、綾の蹴ったボールが怜緒の方へ転がった。


怜緒は、足元のボールを軽く見ている。


「依麻、取りに行きな!!」
「え、あ、え!?」


綾に押され、私は怜緒の方へ近づいた。
怜緒は数秒黙った後、軽くボールを蹴っとばした。
私の頭の上を軽快に舞うボールは、見事綾の方へと飛んでいった。


「依麻、よかったね!!」
「ひ、ひぃぃ」


綾に背中を軽く叩かれる。
私は軽く頬を赤らめながら、小さく頷いた。


このとき、怜緒を見れるだけで幸せだった——。
普通に楽しかった。


   この後起きる出来事を、何も知らないで。