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Re: 嫌いに、なれたら +実話+ ( No.168 )
日時: 2010/06/17 19:36
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: 塚淌果淦弊折斌淦! 岶探牢弊折斌淦!♪(by.ひょっとこ←

第九十二話『言いたい一言』


馬鹿か、私は。


なんで、あの時——。


期待しちゃったんだろう。




*昼休み*


ブレーキのきかない自分の心がイライラする。
もう色んな感情が混ざりすぎて、心が壊れそうだ!!


私は心の中で叫びながら、自分の席でぐったりしていた。
すると、いつものように綾が遊びに来た。


「依麻、大丈夫〜? 元気?」
「元気だよ、あは」
「気晴らしに、あそこで語ろう!」


綾が指差したのは、一組の教室の廊下の奥。
そこは窓がついており、人も居ないのでいつも綾と景色をみながら語っている。


「依麻、元気出して?」
「ありがとう……、綾」
「弱気にならない!! ねぇ、依麻聞いて!! あのね、昨日部活あったんだけど——……」


綾に渇を入れられ、なんだか元気が出た気がする。
そうだ、細かいことは気にせず弱気にならない!!
そう思いながら綾と仲良く恋バナをしていると、


「——依麻〜!!!」


遠くから、和美が走ってきた。
私と綾は振り向き、目を見開いた。


「どうし」
「来て!!」


和美に言葉を遮られ、腕を強く引っ張られる。
そして和美はよろける私を前に差し出した。
——……男子のズボンが、四つ?
そう思いながら顔を上げると、


「——……っ!!」


目の前には、怜緒が居た。
見れば、横には望と和希と櫂が居る。
怜緒以外の三人は、ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべている。


「……か、和美? これは一体」
「連れてきたよ、


          怜緒」


和美が、私の顔を見てニヤリと笑った。
なんなんだ、このメンバー。
てか、和美もグルなのか!!


「あ、綾……助けて……」


私が遠くの綾に助けを求めるが、綾は非常に困っている。
それを見た和美は、私を強く引っ張り、怜緒への距離を近くさせた。
ひぃぃ、怜緒が近い……!!


「……っ」


怜緒は黙ったままだし、私も黙る。
他の四人も黙ったまま笑みを浮かべている為、沈黙が走った。


「——……えー、……」


沈黙を破ったのは、意外にも望だった。
皆が望を注目すると、望は小さく咳払いをした。


「……まずはじめに、怜緒は依麻に言いたい事が一言あります」


望は、偉そうな口調でそう呟いた。
すると和美たちは顔を見合わせ、頷いた。


「……その前に、俺から一言」


望は笑って、また軽く咳払いした。
そして、私の顔を見て手を差し出す。


「姫吉のボタン、どこやったの?」
「へ」


望が怜緒のブレザーの第二ボタンがあった部分を、指差した。
私は背筋が凍りつくほど焦ったが、平常心を保ちながら「知らない」と呟いた。


「姫吉のボタンは?」
「だ、だから知らないって」
「……とぼけてる、こいつ」


望が私を指差し、櫂と和希と怜緒を引っ張ってこそこそ話し始めた。
おいおい、君たち近所のおばさんじゃないんだから……。


てか、なんで望たちは私が怜緒のボタン持ってるの知ってるの?
てか、なんで私だけのせいになってるの?
おかしくない? これ。


そう思ってると、こそこそしていた男子たちが私の方へ振り返った。
しかし、怜緒と望はまたこそこそし始める。


「……?」
「——……では、本題に入ります。姫吉君からの一言です」


私が首を傾げていると、こそこそをやめた望がまた偉そうな口調で呟いた。
それと同時に櫂と和希は怜緒を押し、和美は私を押した。
怜緒も私もお互いに軽く踏ん張って、抵抗する。


「……ほら、姫吉」
「……っ」
「ひーめーよーしっ!!」
「…………っ」


怜緒は口を硬く閉じたまま、黙っている。
背中を押して呟いている望も、やがて黙り始めた。
そして、また辺りに沈黙が走った。


「…………」


どんどん心拍数が上がっていく。
怜緒が言いたい一言って……?
きっと、水のみ場の時の言葉だよね?


そう思った瞬間、





       「…………っ死ね!!」




怜緒はそう大声で、私に向かって言った。
し……し……、


           死 ね ? 


「いぇーい!! ふぉーっ」


私が硬直してる間に、怜緒たちは軽く笑いながら去ってった。
もしかして、言いたい一言って「死ね」?
ふ、ふへへ……。
あはははははははははははは。


「うぜーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


私は、廊下中に響く声で叫んだ。