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Re: 嫌いに、なれたら +実話+ ( No.198 )
日時: 2010/06/21 18:50
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: 塚淌果淦弊折斌淦! 岶探牢弊折斌淦!♪(by.ひょっとこ←

第九十四話『矛盾相合傘』


頑張っても、もう無駄なのに。


これが諦めるチャンスかも知れないのに。


それでもまた、私はふりだしに戻ってしまうんだ。




「せっかく姫吉がOKしたのに、信じてない奴だ」


次の日の廊下。
すれ違った櫂に、大きな声でそういわれた。
OK……?
あれのどこがOKっつーんだ、馬鹿野朗!!


こっちは死ねって言われたんだし、望に『さっきのは嘘』って言われてるんだし。
何なのさ、矛盾しすぎだぜ!!


私はそう思いながら、櫂を無視して教室へ向かった。


*昼休み*


「いっくよー!! ほい、依麻!!」
「あいよー!」


今日は二年生が体育館の日なので、私と綾は体育館でバレーをしていた。
綾が思い切りサーブをするが、見事に取れないままボールは宙を舞った。


「あ、あぁ〜!」
「依麻、早よ取ってこい!!」


綾がそう言い、私は慌ててボールを追いかけた。
——すると、転がっていくボールの前である人が止まった。


         姫吉 怜緒——……。


「……」
「うぇ、おぁ」
「……」


怜緒は軽く俯き無言のまま、ボールを拾い私に軽くパスした。
私は慌てながらも受け取る。


ボール、スルーしてくれてよかったのに——。
なんで立ち止まるわけ……?


「……い、行くよ綾〜!!」
「はーいっ」


私は心の中で「怜緒の馬鹿」と呟きながら、怜緒に背を向けた。
そして、思い切りボールを打った。


ええい、なんか気まずい!!
なんなんだよ、あぁぁぁっ!


私は少しドキドキしながらも、バレーで気を紛らわせていた。


*放課後*


「——あ、依麻依麻〜!」
「ぬ?」


向こうの方から、由奈が走ってきた。
私は首を傾げながら、由奈を見る。


「どうしたの?」
「あのね! 今日櫂が黒板に、姫吉と依麻の相合傘書いてたよ」
「……はい?」


おいおいおいおい櫂!!!!
私は目を見開きながら、由奈の肩を掴む。


「そ、それで? 怜緒の反応は?」
「……んーと、なんか軽く怒りながら素早く消してた」
「へ、へぇ」
「多分、恥ずかしかったんじゃない!?」


由奈は、私の頬を突いた。
私は首を深く傾げ、「それはない」と呟いた。


だって、もう嫌われてるもん——。
絶対、嫌だから怒ったに決まってる。




       そうに、決まってるよ。