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Re: 嫌いに、なれたら +実話+ ( No.213 )
日時: 2010/06/23 21:59
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: そんなひどい事は聞きたくなかった by.カノンロック-失恋疾走曲-

第九十五話『隠す顔』


*六時間目*


やってきましたよ、面倒な時間。
学年集会——……。
うん、眠くなるんだなこれが。


隣に居るひょっとこは、なんかボソボソ歌ってるし。
斜め後ろに居る風李は「あなた静かにしなさぁい!」とオネエ言葉になってるし。


そう思ってると、学年代表——。
怜緒たちが、一組の女子の横に椅子を持ってきた。


「……ア、ミカミ。ミギムケ」
「やだ」
「ナンデ」
「やだ」
「ヒメヨシイルゾー」
「やだ」


私はひょっとこの言葉に、全部「やだ」で返した。
ひょっとこは軽く口を尖らせている。


「ヒメヨシノコト、スキナンダロ? レオガガクネンダイヒョウデヨコニイテ、ヨカッタナ」
「うるさい」
「——……あのさ、もう依麻の好きな人は違うよ」


ひょっとこと私が喋っていると、前に居た琉佳が小さく呟いた。
琉佳の方を見ると、軽く笑っている。


これは、琉佳なりのフォローだろう。
きっと。


「……ジャアナンデ、オマエヒメヨシノホウミナイノヨ」
「え」
「スキジャナイナラ、ミレルハズダロ?」


ひょっとこはそう呟いた。
た、確かに……。
ひょっとこの言う事は、正論だ。


しかし、ね……。


「き、気まずいの」
「……」
「なんとか言えよ」
「——ホラ、シュウカイハジマルゾ」


ひょっとこの呟きが終わると同時に、集会が始まった。





「——……では、閉式の言葉」


司会がそういうと同時に、私は眠りかけてた目を開けた。
はぁ、長かった。
もう少しで終わる……。
私はそう思い、またリラックスしようとする。


しかし、


「閉式の言葉、姫吉君お願いします」
「!?」


思わず椅子から転げ落ちそうになった。
ひ、ひ、姫吉!?
思いっきり動揺していると、怜緒がマイクを持って前に出た。


「——これで集会を終わります。しかし、集会が終わった後も、今日聞いた話を大切にし——……」


怜緒が紙を見ながらそう言った。
声がちょっぴり低い怜緒も、またこれはこれでかっこいい……なんて思っちゃったり。


そう思いながら怜緒の方をチラ見すると、


「……っ!?」


怜緒は顔を紙で見えないようにし、私が見れないようにした。
い、今のは偶然じゃない……よね?
さっきまで顔……見えてたもんね?


私が見た瞬間、顔を隠しただと!?


「……」


どんだけ嫌われてるんだ、私。
そう思いながら、私は大きくため息をついた。


*集会終了後*


「オイ、ミカミ」
「何?」
「オマエ、ヒメヨシガハナシテルトキ、メッチャメソラシテタベ」
「へ? ……そ、逸らしてた?」
「ウン。メッチャヤベー」


ひょっとこは一人で叫び始めた。


ていうか私、そんなに目逸らしてた?
顔隠されたときは、まぁ俯いたけど——……。
そんなに逸らしてたかなぁ?


*放課後*


廊下の水のみ場で、私は恵と立ち話をしていた。
そのときに、ふと視界に怜緒が映った。
私は思わず下を向いてしまった。


「……依麻? どしたの?」
「い、いや……なんでも」


なんか、私も思いっきり避けてるよね。
無理、直視できない。
ましては、叶わない好きな人だからこそ——。


気まずくて、もどかしいんだ。
この距離が、縮まればいいな……なんて心の隅では思っちゃったり。


そう思ってると、軽く怜緒と目が合った。
が、すぐに逸らされた。
怜緒の横には、錬太郎が居る。


怜緒はなんだか、落ち着かない様子だった。


「……や、ちょ、ちょっとトイレ行こう」


怜緒は錬太郎の腕を引っ張り、トイレへと向かった。
なんか怜緒が落ち着かない様子だと、こっちまで落ち着かなくなってくる。
……恋って、そういうものなのかな。


その時、


「——バカ依麻」
「ぬ!?」


見覚えのある声が聴こえた。
慌てて後ろを振り向くと——。


「れ、錬太郎……」
「なんだよ、バカ依麻」
「あ、あれ?」


ついさっき、怜緒と一緒にトイレへ行って……たよね?
なんで今ここに……あれ?
テレポート、したんですか?


「姫吉の事、まだ好きなんでしょ?」
「はぁ!?」


突然この質問ですか……。
なんなんじゃ、もう。


「なんでそんな事聞くの」
「いや、まだ好きなんでしょ」
「なんで」
「まだ好きなんだろ」


なんで何回も聞いて来るんだ、東海錬太郎。
私は呆れながらも「なんで」を繰り返していた。


「……俺、今姫吉探してるんだ。どこ居っか知ってる?」
「知らない」
「そっか」


錬太郎はそれだけ言うと「姫吉ー」と叫びながら、反対方向へ歩いていった。
てか、さっき一緒に居たよね?


「……ぷひ」


なんか、一気に疲れたような。
私は軽く伸びをして、バックを持ち玄関へ向かった。