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Re: 嫌いに、なれたら +実話+ ( No.226 )
日時: 2010/06/24 19:13
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
参照: そんなひどい事は聞きたくなかった by.カノンロック-失恋疾走曲-

第百話『罪』


違う——。


私がやったんじゃないよ?


信じてよ、ねぇ。




*月曜日*


「依麻、ボタン取るなって!! 色んな女子の悪口言うなっつーの!!」
「は?」


曇り空の午後。
突然駿二に言われた言葉。


ボタン——? 
色んな女子の悪口——……?


それって、私じゃなくて和美と舞夜のことじゃありません?


「私じゃないし」
「お前以外誰が居るんだよ、な? 美里奈」
「うん! ……姫吉と仲良くしたら、依麻に悪口言われるから嫌だぁ〜」


な、なんだこの展開は……?
突然どうしたの、これ。
なんで美里奈と駿二……?


「……言ってないっつーの」


私は小さく呟いた。
てか、なんでこの二人にそんな事言われなきゃいけないんだ!!
あぁ、なんかムカツク!!


色んな女子の悪口言ってないし、ボタンも取ってない——……。
——まぁ、こういうデマを流したのは大体想像つくけどね……。


*放課後*


「……」


なんか今日は、実に最悪だった。
あの後は結局、駿二たちに授業中も嫌味言われるし。


怜緒のボタンを持ったまま、一週間が経った。


「……返さなきゃ、まずいよね」


いつ返そうか。
返すにも、タイミングが……。
しかも、気まずいし。


そう思っていると、


「依麻!!」


和美に呼び出された。
見れば、凄い鋭い目つき。
ど、どうされたんですか……?


「お前早く来いや!!」
「え」
「早く!!」


和美さんなにやらキレてます。
まぁ最近、あのボタン持たされた以来仲悪かったんだけど……。
ついに呼び出しときましたか。


「早くこっち来いや!!」


和美が叫ぶので私はしぶしぶ和美の元へ向かった。
見れば、和美の横には——。


         怜 緒 が 居 た


望と続海も居る。
その他に、合計八人が私の前で立っている。


「……」


何だ、この危ない状況。
リンチでもされる? 私……。


     ていうか、なんで怜緒が居るの?


「姫吉、早く言えや!!」
「……」


私が呆然としてると、和美が怜緒に向かって怒鳴った。
怜緒は壁の方を向いたまま、無言。


「…………」


私たちの間に、沈黙が続いた。
和美と舞夜の表情は、どんどん険しくなっていく。


「……とりあえず、学校から出て話すか」


そう呟いたのは、和美。
舞夜は「そうだね」と呟く。
そして私は固まったままだったが「ついてこい」と言われて和美たちの後を追った。


「……依麻、姫吉が一言言いたい事あるって」
「……」


望が小さく呟いた。
しかし私は、思い切り望を睨んだ。


望も怜緒も、皆和美たちの味方なんでしょ——?
私は硬直していた間に、悪い頭で考えていた。


それぐらい、わかってる。
ここに居る八人は、私の敵。
私を信じていない。


嘘をついて人を利用している、和美と舞夜の言葉を信じているんだ。


「——……」
「……あっ、姫吉!!」
「逃げた、捕まえよ!!」


俯きながら歩いていると、和美が叫んだ。
見れば、怜緒たちは走り去っていった。
舞夜は叫びながら、怜緒たちを追っている。


「…………」


もうなんか、何がなんだかわからない。
訳わかんないよ。


なんで私一人が、悪者になってるの?





私は一人残され、その場で立ち尽くしていた。