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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 嫌いに、なれたら +実話+ ( No.247 )
- 日時: 2010/06/25 21:43
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
- 参照: そんなひどい事は聞きたくなかった by.カノンロック-失恋疾走曲-
第百七話『雨のココロ』
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「……あ、雨……」
私の冷たくなった心に追い討ちをかけるように、空から大粒の雨が降ってきた。
和美と私はさっきの話が盛り上がり、一回家に帰ってお店巡りをして遊んでいた。
「早く家帰らなきゃね」
「うん……」
次第に雨は、どんどん強くなっていった。
歪む視界で、私たちは自転車をこいでいた。
その時、
「——あ、依麻!」
「……駿二、続海……?」
偶然駿二と続海に会った。
駿二はフードを被っているが、何も被っていない続海は髪の毛から雨の雫が滴り落ちていた。
それを見ると、改めて雨の強さを実感してしまう。
「依麻、姫吉電話したんだぞ」
「はい?」
「姫吉に誤解解いてあげたぞ、感謝しろ」
「あ、ありがとう……」
和美と舞夜と仲直りする前——……、怜緒からあの手紙をもらった後に、駿二に『怜緒の誤解を解いておいて』と頼んだのであった。
すっかり忘れてたけど——……。
誤解、解いてくれたのかぁ。
「感謝料に三百円な!」
「……わかったよ、仕方ない」
「やりーっ!! ……じゃあ、行くか続海」
「おう」
雨に打たれながら、二人は去っていった。
いつの間にか気づけば、私の髪からも雫が滴り落ちていた。
「…………」
誤解をといてくれたのは、安心。
怜緒が本当にわかってくれればいいけど——。
でも、素直に喜べないのは何故だろう?
——あぁ、そっか。
怜緒が、私の事を嫌いだから——……。
素直に、喜べないのかな?
雨は止むこともなく、強く切なく私を叩きつけていた。
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