コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 嫌いに、なれたら +実話+ ( No.298 )
日時: 2011/01/23 18:16
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: h7rqA5xU)
参照: 文章の書き方忘れた(ぇ

第百十二話『宣告』


——来る時が来てしまった。


この時が、とうとう来てしまった。


運命は、もう変えられない。





「——え?」


それは、突然の宣告だった。
私の頭は状況が読み取れず、ただ目を見開くことしか出来なかった。


「転、校——……?」


そう。
あまりにも突然すぎた。
お母さんは俯いて、黙っている。


「……ごめんね、依麻」
「——どうしても、なの?」


私がそう聞くと、お母さんはゆっくりと頷いた。
そう、どうしてもに決まってる。
だって——、


「お父さんと、離婚するから……」


私の両親は、離婚するから。
前から不仲だった両親。
最近はほぼ毎日喧嘩してた。
だけどお母さんは耐えてきた。


だけど今回は、我慢の限度を越してしまった。


お父さんは、お母さんに手を出した。


顔や体を殴ったりして。
私は必死に止めた。
だけど、お父さんは止まらなかった。


だから私たちは今、施設にいる。
その施設の中で、私はお母さんに『転校』という宣告をされた。


「——……」


本当は、転校したくない。
だけど、お母さんも私も精神的に参っていた。
恋愛も家族も友情も、何もかもうまくいかなくて。


「——わかったよ」


いっそ、すべてを投げ出したかった。
楽に、なりたかった。







その日の夜。
私は、怜緒の夢を見た。
夢の中の私は、怜緒と笑っていて。
隣に居る望が、私たちを見て言った。


「姫吉はお前しか考えられないって」


違う。


「傍に居てほしいんだって」


違う。
怜緒の傍にいていいのは、私じゃない。


「お前ら、付き合えよ」


怜緒が好きなのは、愛可なんだよ——……。




「——……夢、か」


目が覚めた時、時刻はもう昼過ぎだった。
転校するっていうのに、何能天気な夢見てるんだよ。
施設にいるから、学校にも行けないのに。


「——……っ」


怜緒に、会いたい。
隣に相応しいのは私じゃなくてもいいから。
会いたい。
嘘でもいいから、好きって言ってほしい。


「……」


私は立ち上がり、着替えて外に出た。
このままじゃ、綺麗に転校出来ない。
ちゃんと決めてから、さよならしよう。


ちゃんとさよならして、私は君の前から消えよう。