コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Love And Youth! +実話+ ( No.31 )
- 日時: 2010/05/14 17:59
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
- 参照: http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I
第五十三話『ぎこちない会話』
凛の後を追いかけてると、凛は五組の前で止まった。
「……凛? 返して」
「うるせぇ、今俺用事あるの」
「いや、用事の前に返して」
私は足を止めて、そう呟いた。
凛は軽く私を睨む。
「野沢〜野沢〜」
凛が五組の前でそう叫んだ。
——野沢って、聞いたことある名前。
「あ、凛。どうした?」
そう、その名前は——。
私にとって、とても懐かしくて。
私にとって、とても変な感じがして——……。
「……流……」
私の前の好きな人——。
野 沢 流
「……っ」
久しぶりに見た流の姿。
髪の毛が伸びてて、
背も私より高くなってて、
声変わりしていて——……。
私が軽く俯くと、流は私を見た。
そして、小さく口を開いた。
「……凛とお前、付き合ってるの?」
「「はぁ!?」」
凛と私は、同時にハモる。
なんで凛と私が……!!
私がそう思いながら首を横に振った。
「なんでだよ、付き合ってるわけないじゃん」
「ふーん……」
「そうだよ! ……てか、凛。早くボンボン返せ」
私は凛を睨んだ。
凛は口を尖らせて私を見た。
すると、
「うるさい黙って」
「はぁ?」
流が私に向かって言った。
私は横目で流を見て「ウザイ」と呟いた。
今思えば、流を好きだったときも……。
こんな「ウザイ」から始まったんだよね。
私は最初流の事大嫌い……というか苦手だったし。
って、なんでこんな事振り返ってんだ!
「……流、あっちで話しようぜ」
「おー」
私が油断していた隙に、二人は猛ダッシュで人ごみの中へ紛れていった。
おぉぉぉぉい、カムバックボンボォォォォン!!!
私は二人を見失い、その場で呆然としていた。
「……固まってる場合ではない」
人ごみをかきわけてでも、凛を探さなければ!!
私は廊下の人ごみへ向かって走り出した。
**
「うっぷ」
人ごみはやっぱ苦しいね。
しかも、男子が固まってる周辺は、なんか空気がむさ苦しいよ!
おええ。
そう思いながら歩いていると、廊下の窓のところに寄りかかっている怜緒を見つけた。
今日初めて会えた——! ……じゃなくて!!
「……あれ、」
怜緒の手に、白い丸いものが……。
あれってもしかして……?
いや、まさかね。
怜緒が持ってるわけがない。
そう思って目を擦っていると、怜緒の手から白い丸い物体が落ち、私の前に転がった。
「!?」
私 の ボ ン ボ ン じ ゃ ん !
私は目を丸くしながら、怜緒を見た。
「な、なんで持ってるの!?」
「い、いや、ここに落ちてたから……」
「……へ、へぇ」
なんか、初めて会った人の会話みたいだなぁ……。
そう思ってると、なんか変な沈黙が流れた。
「……」
私も怜緒も、お互いに黙っている。
するとどんどん、周りには人が集まってきた。
な、なんだこの集まりは……。
周りの人たちは、私と怜緒の顔を交互に見る。
周りの人は思いっきり注目してくる為、なんだか凄く恥ずかしい。
怜緒は周りの男子に注目され、少しだけ頬が赤くなっていた。
な、なんかこの雰囲気——……。
私 が 告 白 す る み た い じ ゃ ん !!
「依麻、頑張れ」
誰かの小さな声が聞こえた。
依麻頑張れって——……。
完璧誤解されてますね。
告白じゃないんだよ、馬鹿!!
「……っ」
私の顔は少しずつ熱くなっていく。
あぁ、これ以上誤解されたらたまらん!!
私はその場から脱走した。
「……ううう……」
私は廊下の一番端っこの壁に、顔を抑えて隠れる。
あぁ、恥ずかしかった!
——でも、久しぶりに怜緒と話した気がする。
たった一言の会話でも、
たった数秒の会話でも
どんなにぎこちなくても——……。
私にとっては、凄く嬉しくて。
凄く、貴重で大切な時間だった。