コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Love And Youth! +実話+ ( No.37 )
- 日時: 2010/05/15 21:11
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uRjlitq/)
- 参照: 今進まなきゃってそう誓った(by.You bet!!
第五十五話『私の知らない君の好きな人』
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時間があっという間にたち、給食時間。
私は一人で水のみ場へ行き、手を洗っていた。
「……」
その時、自然に目は怜緒を探していた。
この前みたいに隣に来るんじゃないか──。
隣に来なくても、姿を見たい。
そんな叶わぬ願いを抱いていた。
たとえ、偶然だとわかっていても。
「ハンカチハンカチ〜……っと」
私は蛇口の水を止めて、ハンカチをポケットから出した。
結局辺りを見回しても、怜緒はいなかった。
やっぱり、前のは偶然だったんだ。
そしてこの願いは、叶うことのない私のわがまま——。
「……はぁ」
私はため息をつきながら、ハンカチをしまった。
そして教室に戻ろうとした時、
「……!」
嘘——……!?
振り返った先には、怜緒が居た。
怜緒と数秒目が合い、私から逸らす。
怜緒は続海と笑いながら肩を組んでいた。
姿を見れたのは嬉しいけど、なんか突然すぎて恥ずかしい。
私は俯きながら、教室の方へ足を進めた。
怜緒たちも、こちらへ真っ直ぐ向かってくる。
「……」
このまま行ったら、私たちはすれ違って終わり。
この時点では、姿を見れただけでよかった。
だから、これでよかったのに——……。
「依麻ぁー」
「!?」
続海が足で、私のスカートを捲る様に蹴ってきた。
ちょ、何すんだこの変態は!!!!!!!!!!
しかもよりによって怜緒の前でぇぇぇ!!!
——まぁ、中にショーパンはいてるんだけどさ。
幸いスカートも、なんとか捲れなかったけど……!
私の足に続海の足が当たったぞこのヤロー!!
そう思ったとき、
「いて」
「!?」
私が続海を睨む瞬間に、いち早く怜緒の手が伸びた。
そして怜緒は、続海の頭を軽く叩いた。
「……!?」
続海は怜緒に軽く引っ張られながら、私と反対の方向に去っていった。
私はその場に、呆然としていた。
怜緒は何故、続海を叩いたの?
怜緒が人の頭叩くなんて、滅多に見たことないよ。
「……」
もしかして、続海から守ってくr……——って、そんなわけねぇ!!!
私なんかが、怜緒に守られる権利なんてないし。
怜緒自体も、私なんか守るわけない!!
その時に、ふと頭に『好きな人』が浮かんだ。
——そうだよ、怜緒には好きな人が居るんだから。
きっと私なんかより、凄く可愛くて。
きっと私なんかより、凄くスタイルがよくて。
きっと私なんかより、凄く頭がよくて——……。
私なんかじゃない、違う女の子が——……。
そう思うと、なんだか胸が痛かった。