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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Break Youth +実話+ ( No.55 )
- 日時: 2010/05/21 22:40
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: MT1OWC7F)
- 参照: 想い続けてればきっと叶うから そうだよね(by.STEADY
第六十一話『残酷な運命』
運命って、残酷だよね。
「依麻、こっちの学校に転校しない?」
本当に、本当に思いがけない一言だった。
「……え?」
こっちの学校——?
今の学校を、転校……?
「なん、で」
「……ばあちゃんの家からの学校の方が、近いでしょ? 家庭の事情にも、ちょうどいいのよ」
カテイノジジョウ?
ガッコウガチカイ?
——そんなの、どうだっていい。
「依麻には色々負担かけさせてばっかりだけど……。ごめんね」
「…………うん、考え……とく」
「……うん」
お母さんは頷くと、その場から去っていった。
私は一人、取り残される。
「…………」
お母さんの悲しい顔を見ていたら、胸が苦しくなった。
私だけじゃない。
お母さんだって、苦しいんだ。
本当は私が、早くこっちに転校すればいいんだ。
でも——……。
「……」
私は椅子に座った。
そして、荷物から持ってきた写真を取り出した。
「……あった」
その写真は、
1−5学級写真——……。
私は、映っている怜緒を眺めた。
それと同時に、いろんな思い出が浮かんだ。
話しかけてくれたこと。
優しい言葉をかけてくれたこと。
隣の席になったこと。
喧嘩したこと。
笑いあえたこと。
目が合ったこと——。
いっぱい、いろんな想い出が浮かんで——。
すぐに、融けるように消えた。
——嫌だ。
君のためにも、私のためにも諦めたい。
やっぱり大好き。
本当は諦めたくない。
でも君に、迷惑がかかっている——……。
「……っ」
いろんな想いが混ざり合い、私の目から小さな雫が零れ落ちた。
この想いを制御するには、どうしたらいい?
どうすれば、君を諦められるの?
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